week33 災害対策車両モバイルファーマシーを用いた無薬局地域における実証実験が始まりました
モバイルファーマシー車内で調剤作業中の薬剤師
岐阜薬科大学では、災害対策移動薬局車両モバイルファーマシー(MP)の医療過疎地での有用性を明らかにすることを目的として、2022年10月より岐阜県山県市北伊自良地区において国内で初めてMPを用いた無薬局地域での平時の処方せん調剤を実施しています。これまで、MPは、薬剤師法などの規制により災害時のみしか使用できませんでしたが、今回、産業競争力強化法に基づく新技術等実証制度(規制のサンドボックス制度)による実証計画として、地域や期間を限定して、厚生労働大臣により特例的に認定されました。(week25参照)今回の実証実験では、岐阜県山県市の伊自良北診療所の近隣駐車場にMPを駐車し、処方せん調剤を行っています。
この実証実験は、薬剤師としての臨床経験を持つ岐阜薬科大学の実務家教員と地域の薬剤師が協力して実施しており、実証実験を開始して1ヶ月半が過ぎました。患者さんの多くは高齢の患者さんですが、小児や若い患者さんがいらっしゃることもあります。他の薬局で調剤された薬と今回の処方が複雑でわかりにくいという症例では、すべての薬剤を一包化してわかりやすくしたり、あまり飲んでおらず残薬が多い睡眠薬の処方量を調節したり、服薬指導時に判明した患者さんの症状に基づき、再度の受診を勧奨したりといった薬剤師の専門性を活かした患者サービスを提供しています。
この実証実験は、薬剤師としての臨床経験を持つ岐阜薬科大学の実務家教員と地域の薬剤師が協力して実施しており、実証実験を開始して1ヶ月半が過ぎました。患者さんの多くは高齢の患者さんですが、小児や若い患者さんがいらっしゃることもあります。他の薬局で調剤された薬と今回の処方が複雑でわかりにくいという症例では、すべての薬剤を一包化してわかりやすくしたり、あまり飲んでおらず残薬が多い睡眠薬の処方量を調節したり、服薬指導時に判明した患者さんの症状に基づき、再度の受診を勧奨したりといった薬剤師の専門性を活かした患者サービスを提供しています。
岐阜薬科大学の実務家教員らと伊自良北診療所の鳥澤医師
岐阜県山県市は、岐阜市の北部に位置し、2003年に高富町、伊自良村、美山町が合併して発足しました。旧伊自良村の北伊自良地区は、過疎化が進み、359世帯892人のうち65歳以上の割合は約40%となっています。地域の公共交通機関は、市が運行する自主運行バスが2時間に1本(1日6本・平日のみ)であり、自家用車が利用できない場合の移動手段は限られています。自家用車が利用できれば市中心部の医療機関や薬局を利用できますが、交通手段が徒歩のみの高齢者らは、週2回、1回1時間程度の出張診療が行われている公設民営の伊自良北診療所を利用しています。近隣に処方せん調剤を行う薬局が存在しないため、治療に必要な医薬品は、医師が手持ちの限られた医薬品を患者さんに提供していました。 このような医療過疎地でMPを用いた医薬分業を実施することが日常的に可能となれば、医師と薬剤師による処方のダブルチェックや薬剤師による効率的な医薬品管理が行われ、医師は在庫にとらわれず処方の選択の幅が広がり、医薬分業のメリットを無薬局地域においても住民に提供することが可能となります。岐阜薬科大学では、今回の実証実験を2023年3月まで実施します。
【文責:林 秀樹(岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授)】
【文責:林 秀樹(岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授)】
岐阜県山県市北伊自良地区で活動するモバイルファーマシー
寒さ対策を施したモバイルファーマシー
モバイルファーマシーでの服薬指導
暖房を完備した患者指導スペース