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week30 総合型地域スポーツクラブを担う人材の育成


 2022年10月17日付の高知新聞に、「スポーツの秋に」というコラムが掲載されている。高知市の春野運動公園グラウンドで、グラウンドゴルフ大会が開催された。東西に広い高知県の東の端から西の端までの、50代から90代まで約260人が参加して熱気あふれるプレーが展開されたそうだ。
 一方で、参加者の間で、ある「不安」が静かに漂い始めているらしい。「高齢化による競技者の減少」というのは想像に難くないが、そうではなく、送迎してくれる人の確保が問題になりつつある。高齢者は運転免許証を返納せざるを得ず、そうすると、公共交通機関の便が悪い高知県では、大会に参加するためには行政が参加者を送迎するというサービスが必要になる。問題はここである。つまり、いつまで行政がそういうサービスを提供してくれるか。平成の大合併で、市町村の職員数は大きく減った。その中で、競技大会への高齢者の搬送という「業務」がいつまで続けられるのか。
 このような状況の中で、最近、「総合型地域スポーツクラブ」が再び注目されるようになっている。総合型地域スポーツクラブが行政に代わる存在として、高齢者にスポーツへの参加機会を提供する有望な存在であることは間違いない。
 しかし、高知県は総合型地域スポーツクラブの施策を一度失敗している。こう言うと、所管課からお叱りを受けそうだが、実際に、私もかつて総合型地域スポーツクラブの立ち上げと運営に携わり、失望させられた一人なのである。確かに、県教育委員会の担当者はよくサポートしてくれた。総合型地域スポーツクラブに補助金を出していた日本体育協会(現日本スポーツ協会)も熱心だった。最後まで解決できなかった課題は、運営の担い手の育成だった。高知県の場合、運営の担当者であるクラブマネジャーは、まちづくりに熱心な方や人のお世話のできる方たちだったが、スポーツクラブの運営については「素人」だったのである。その結果、いくつかのクラブは解散し、あるいは行政が「丸抱え」することで危機を乗り越えどうにか存続しているクラブもある。
 では、どうすれば総合型地域スポーツクラブが本来の住民主体の地域スポーツ組織として活性化できるのか。それは、担い手となる人材の確保と育成である。自らの経験から言えば、クラブマネージャーは「プロ」であるべきだ。スポーツ好きでまちづくりが好きであるだけでなく、クラブのマネジメントができる人が常駐できる状況でないと運営は厳しい。
 最近、高知新聞は、最近総合型地域スポーツクラブの特集も組んだ。高齢化が進み、人口減少の著しい中山間地域を抱える高知県にあって、住民の健康づくりに寄与できる総合型地域スポーツクラブの存在意義は大きい。
 このような地域スポーツクラブの担い手をどうやって育てていくか。学校の部活動の指導者を地域に求める施策が一気に進められようとしている今、運営を担う人材の育成は喫緊の課題と言えよう。そのための大学の役割は大きいと認識している。

【文責:清原泰治(高知県立大学地域教育研究センター長 教授)】

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