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month16 スポーツ基本法の改正にみるこれからの社会とスポーツ


 2011年に制定されたスポーツ基本法(以下、基本法)が大幅に改正されました。この法律は、国内のスポーツに関する基本的な理念を示したものです。改正の特徴のひとつは、個人のウェルビーイングの実現に寄与し、多様な人々が共に生きる社会をめざすためのスポ−ツのあり方や役割が強調されたことです。
 改正前の基本法では「するスポーツ」を中心に法律の内容が構成されていました。今回の改正では、社会の中でスポーツが果たす役割として、「見る」「支える」「集まる」「つながる」という言葉が明示され、スポーツとの多様な関わり方が意識されています。
 また、これまでになかった内容として、「障害者基本法、男女共同参画社会基本法、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律その他の関係法律の規定」を踏まえ、あらゆる人々を差別的に扱わないことが謳われました。
 近年のスポーツ界では、東京2020大会の基本コンセプトのひとつが「多様性と調和」であったことも影響し、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進が目指されるようになっています。この動向は、ビジネス界とも同様です。今回の基本法の改正は、こうしたスポーツ界の動向を後押しするものだといえるでしょう。

 では、共生社会の中でDE&Iを推進するためのスポーツにおけるリーダーシップやマネジメントとはどのようなものでしょうか。スポーツ界では競技の功績や経験値の高さなどを背景に「強いリーダーシップ」の発揮を求める傾向があるとされてきました。さらにそうしたリーダーシップの下、類似した価値観を持つ人々が牽引する組織がモデルとして強調されてきました。しかし、DE&Iを推進する組織では、「集合知」を引き出せるリーダーシップが求められています。多様な価値観を適切にすりあわせたり、組合せたりしながら、より良い方向性を模索する人材が求められているといえます。
 2025年4月からスタートした中京大学「スポーツマネジメントコース(TEEP専門コース)」では、改正された基本法がめざす、これからのスポーツ分野に貢献するリーダーシップの育成、ダイバーシティ・マネジメントの重要性に着目した学びを大切にしています。

【文責:中京大学スポーツ科学部 教授 來田享子】
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