month6 山岳診療所での多職種連携教育の実践
奥穂高岳と穂高岳山荘(診療所は手前左の斜め向きの建物)
昨年度に引き続き、今年度も岐阜大学医学部の「奥穂高岳夏山診療所」での診療活動に岐阜薬科大学の実務家教員と薬学生が参加しました。この山岳診療所は、登山者救護のため、1958年から岐⾩⼤学医学部が開設しており、⽇本3位で岐阜県最高峰の北アルプス・奥穂⾼岳(3190メートル)の⼭頂直下にある穂⾼岳⼭荘に併設しています。岐阜大学の医師や看護師、医学生や看護学生だけでなく、岐⾩薬科⼤学の実務家教員と薬学⽣が参加しています。新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、3年間休診していましたが、昨年度から規模を縮小して再開しました。
今年は7⽉31⽇〜8⽉14⽇の計15⽇間開設され、医師、看護師、薬剤師と学⽣の計6⼈で⼀つの班をつくり、5班で3⽇間ずつ順番に運営を担いました。今年4⽉の募集には学⽣の応募が相次ぎ、やむを得ず落選者を出すほどの⼈気ぶりでした。筆者と本学の薬学生1名は8⽉12〜14⽇の運営を担当する最終班のメンバーとして参加しました。8月10⽇早朝に岐⾩市を⾞で出発。平湯温泉からバスに乗り換え、上⾼地(⻑野県松本市)からは徒歩で2日かけて診療所を⽬指しました。
山岳診療所での薬剤師の役割は、調剤や服薬指導、医師への処⽅提案など通常の業務と変わりませんが、事前にヘリで輸送する医薬品や越冬できないため荷下ろしする医薬品の選定などのロジスティクスにも関わっています。診療所では⾼⼭病の初期症状など軽症での受診が多いですが、今回は滑落して⾸を負傷しヘリで搬送した症例や、落雷により3名が下肢のしびれを訴えるケースなどもありました。学⽣の役割は事前問診や診察・調剤の⼿伝いなどのほか、登⼭ルートの確認なども行っています。また、山の日に合わせて行った穂高岳⼭荘への宿泊客向けの⾼⼭病予防教室の講師も学生が担いました。
薬学部の実務家教員が山岳診療所に参加する意義として、適切な医薬品の管理・提供などのメリットがありますが、数⽇間の共同⽣活を通じて、薬学生が同じ班の看護学⽣から⾎圧の測り⽅を教えてもらうなど医療系の学⽣同⼠が互いの職能を知る機会にもなり、このような現場に学⽣の段階で触れることで、災害時を含め将来の多職種連携への理解につながることが期待されます。
【文責:林秀樹 岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授】
今年は7⽉31⽇〜8⽉14⽇の計15⽇間開設され、医師、看護師、薬剤師と学⽣の計6⼈で⼀つの班をつくり、5班で3⽇間ずつ順番に運営を担いました。今年4⽉の募集には学⽣の応募が相次ぎ、やむを得ず落選者を出すほどの⼈気ぶりでした。筆者と本学の薬学生1名は8⽉12〜14⽇の運営を担当する最終班のメンバーとして参加しました。8月10⽇早朝に岐⾩市を⾞で出発。平湯温泉からバスに乗り換え、上⾼地(⻑野県松本市)からは徒歩で2日かけて診療所を⽬指しました。
山岳診療所での薬剤師の役割は、調剤や服薬指導、医師への処⽅提案など通常の業務と変わりませんが、事前にヘリで輸送する医薬品や越冬できないため荷下ろしする医薬品の選定などのロジスティクスにも関わっています。診療所では⾼⼭病の初期症状など軽症での受診が多いですが、今回は滑落して⾸を負傷しヘリで搬送した症例や、落雷により3名が下肢のしびれを訴えるケースなどもありました。学⽣の役割は事前問診や診察・調剤の⼿伝いなどのほか、登⼭ルートの確認なども行っています。また、山の日に合わせて行った穂高岳⼭荘への宿泊客向けの⾼⼭病予防教室の講師も学生が担いました。
薬学部の実務家教員が山岳診療所に参加する意義として、適切な医薬品の管理・提供などのメリットがありますが、数⽇間の共同⽣活を通じて、薬学生が同じ班の看護学⽣から⾎圧の測り⽅を教えてもらうなど医療系の学⽣同⼠が互いの職能を知る機会にもなり、このような現場に学⽣の段階で触れることで、災害時を含め将来の多職種連携への理解につながることが期待されます。
【文責:林秀樹 岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授】
長野県警のヘリによる重症患者搬送
付近のピーク(ジャンダルム3163m)へのパトロールに参加する薬学生