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month4 地域活性化に向けたスポーツツーリズムの推進


 近年、スポーツの要素を含む旅行であるスポーツツーリズムが地域活性化の手段として注目されています。スポーツツーリズムは、2017年に文部科学省によって策定された「第2期スポーツ基本計画」の重点戦略の一つとして明記され、注目を集めるようになりました。スポーツ目的の訪日外国人旅行者数やスポーツツーリズム関連消費額などの施策目標が「スポーツを通じた地域活性化」というテーマに加えられたことからも、スポーツツーリズムと地域活性化の密接な関連性がうかがえます。このように、国の方針である「スポーツ基本計画」にスポーツツーリズムの推進が明記されたことで、多くの自治体の「スポーツ推進計画」にもスポーツツーリズムの推進施策が盛り込まれるようになりました。例えば、中京大学がキャンパスを構える愛知県、名古屋市、豊田市のスポーツ推進計画にも、地域活性化を目的としたスポーツツーリズムの推進が掲げられています。
 しかしながら、スポーツツーリズム推進には画一的な方法はありません。スポーツツーリズムは大きく4種類に分類されます。旅先でのサッカーや野球などのスポーツ観戦(観戦型イベント)、マラソン大会やマスターズスポーツ大会などのスポーツイベント参加(参加型イベント)、スキーやハイキングなどのスポーツ実施(アクティブ)、スポーツミュージアムやスタジアムツアーなどのスポーツ文化遺産訪問(ヘリテージ)の4種類です。スポーツツーリズム推進には、これらの4種類の区分と各地域が持つスポーツ資源を考慮する必要があります。例えば、名古屋市には数多くのスポーツチームが本拠地を構えるだけでなく、アジア競技大会に向けて建設中のIGアリーナ・瑞穂公園陸上競技場、バンテリンドーム ナゴヤなどがあります。これらを踏まえると、名古屋市では観戦型イベントスポーツツーリズムの推進が適していると言えます。一方、豊田市には名古屋市ほど多くのスポーツチームやスポーツ施設はありませんが、名古屋市にはない魅力的なアウトドアスポーツ資源が豊富にあります。豊田スタジアムでの観戦型イベントスポーツツーリズムと豊富な自然を活用したアクティブスポーツツーリズムを両輪とすることが効果的だと考えられます。それぞれの地域の特色や強みを生かしたスポーツツーリズムを推進することで、初めてスポーツツーリズムが地域活性化につながっていくのです。

【文責:中京大学スポーツ科学部 教授 伊藤 央二】
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