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ホーム >  コラム >  week79 大学の多様性を支える実務家教員とは

week79 大学の多様性を支える実務家教員とは


 この4月から、名古屋市立大学に着任しております、松村と申します。私は、大学院修士卒業後、公的機関や民間企業での勤務経験を経て、研究者に転じました。もともと公的機関で社会保障や子ども・子育て関係の仕事もしていたこともあり、研究領域もそのあたりを中心に扱っていますが、私自身の経験も踏まえて、大学が社会人や実務家と呼ばれる方々にとって、どのような意味を持つのか、また、どのような化学反応が起きうるのかを、日々、試行錯誤しながら考え、実際の授業でトライしています。
 かつて、私が学生だった頃は、大学はどちらかというと同質性の高いコミュニティで、そこでの学びも知識の教授という側面がまだ強かったように思いますが、現在は、様々な意味で多様化しているように思います。例えば、学問領域の学際化もそうですが、大学の意義、学びに関する考え方、授業のあり方、各種学習支援ツール、そして、大学の構成員の多様化などです。
 様々なバックグランドや専門知・経験知を持つ実務家教員は、大学の構成員の多様化の中核のひとつをなすものであり、学際的に様々な社会課題に向き合うべき現代の大学のミッションを果たす上でとても重要だと思います。
 最後に私自身の研究を少しだけ紹介させていただくと、子ども・子育てに関する政策や取組を、社会保障・社会福祉の視点を中心にしつつ、隣接領域(行政学、教育学、社会学、法学など)の視点も含めて、多角的・多層的に研究しています。子ども・子育てといっても、例えば、国会・行政が立案した政策から、地域の民間のNPOの実践現場での取組まで、非常に多岐に渡ります。学際的な視点から研究することで、その実像を、様々な角度からとらえ、ひとつの視点からでは見えてこない、多様な姿、面白さ、奥深さ、課題点を浮かび上がらせることを心がけています。子ども・子育ては、多彩な学問領域にまたがるだけでなく、社会の様々なフィールドで、相互に影響し合いながら日々生起・変容し、社会を生きる様々な人々の知や思いを体現し、過去・現在・将来と長期的な時間軸にまたがる、壮大な絵巻物や万華鏡のようなものです。その全貌に少しでも近づけるように、研究を続けています。
 みなさまが、それぞれ関心のあるテーマや研究領域で、社会経験や実務家としての専門知・経験知を生かしていただくことが、大学での学びやミッションとの関係で、非常に重要に思っております。学際的、分野横断的な研究は、今後、さらに発展していくと感じます。みなさまと、どこかでご一緒させて頂く日を楽しみにしております。

【文責:名古屋市立大学 大学院人間文化研究科 准教授 松村智史】
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