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ホーム >  コラム >  week76 雲の上の診療所における実務家教員~奥穂高岳夏山診療所~

week76 雲の上の診療所における実務家教員~奥穂高岳夏山診療所~


 2023年度は山岳遭難に関するニュースが多く報道されています。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されたことに伴い、北アルプスなどでは登山者が多く、外国人登山者も多く訪れています。北アルプスなどの高所登山では、ときに、高山病などで体調を崩す方もおられます。頭痛や食欲不振、吐き気、嘔吐、めまい、睡眠障害などを伴う急性高山病は通常2500m以上の高地で発症しますが、それ以下の高度でも類似の症状を示すことがあります。多くは高地環境に順応して軽快しますが、一部の方は、高地脳浮腫、高地肺水腫といった致死的な病態に進展することもあります。
 北アルプス全域と白山、富士山、南アルプスの北岳には山岳診療所が設置されています。例えば、北アルプスの奥穂高岳には岐阜大学医学部の奥穂高岳診療所が穂高岳山荘に併設されています。岐阜薬科大学の実務家教員も、岐阜大学の医学科や看護学科の実務家教員や医学生、看護学生、薬学生らとともに、奥穂高岳診療所で診療活動を行っています。これまで新型コロナウイルス感染症の蔓延により閉鎖されていましたが、今年は4年ぶりに開設され、7月後半から約1ヶ月にわたって診療活動を行いました。
 コロナ禍では山小屋の営業スタイルも大きく変わってきました。完全予約制度が定着したことや、登山者の就寝スペースでは感染防止のパーティションが設けられるなどの変化が見られます。奥穂高診療所でも学生参加者のうち経験者はほとんどおらず、初めての北アルプスという学生も多くおりました。診療活動のみではなく、経験のある実務家教員が登山に関するアドバイスも行いながら、上高地から2日かけて標高3000mの診療所まで歩きました。診療活動の合間には、奥穂高岳山頂やジャンダルムまで歩いてみたり、学生には良い思い出になったと思います。

【文責:林秀樹 岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授】

診療所からみた奥穂高岳とジャンダルム

診療所へ向けて出発

標高3000m雲の上の診療所

診療所からの帰路

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