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week61 2023年、子供のスポーツ環境の変革期


 2019年12月に新型コロナウイルスの感染が発見された後、瞬く間にその脅威は世界へと広がりました。日本では2020年3月に緊急事態宣言が発令され生活は大きく変化し、スポーツ活動は困難な状態となりました。しかし、2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが2類相当から5類相当に移行され、各種スポーツ活動における感染予防対策の緩和により、スポーツ活動に活気が戻りつつあります。早速、夏の総体に向けて中高生のスポーツ競技大会が開催され、今までできなかった家族・友人の観戦が可能となり熱気が感じられます。
 そんな中、子供たちのスポーツ活動の中心を担ってきた部活動の地域移行が2023年度を迎え、地域ごとで動き始めています。スポーツ庁は2023年度から2025年度までの3年間を「改革推進期間」と位置づけ、部活動改革を進めており、まずは休日の部活動を学校単位でなく地域で実施していくことを考えています。実際に取り組みの始まっている地域では既に休日の部活動を地域の指導者あるいは企業、団体へ委託し取り組んでいます。 
 このようにして子供たちのスポーツの機会や環境が変化する中で、子供たちの体力についての問題も挙げられています。スポーツ庁が公開している「令和4年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果(概要)」によれば、令和元年度より連続して小中学生の体力合計点が低下していることが報告されています。その低下の要因として朝食の欠食や睡眠不足、肥満の増加、スクリーンタイム(スマートフォンなどで映像を見る時間)の増加といった問題が挙げられています。そのためコロナ禍以前の活動レベルと同様に指導を行なっていくことはまだまだ難しいと考えられます。コロナ禍の3年間(2020年〜2022年)が子供たちに与えた影響は大きく、今年進学をした高校生や大学生は中学高校で受ける教育の丸々3年間を従来とは全く違った社会の中で過ごしています。そのため、大人が「今まで通りの生活に戻る」という感覚とは異なると考えられ、指導者は社会の変化と共に新たな生活様式の中で過ごしてきた子供たちの心や考えに対しての配慮が必要になるかもしれません。
 スポーツ指導者はその時々の社会の状況に合わせた指導方法を考え、目的に応じて実践していくことができる力を身につけていくことも必要となります。2023年度の子供たちのスポーツ環境をより良くするためにスポーツ指導者が担う役割は大きいと考えられます。

【文責:稲葉泰嗣(中京大学スポーツ科学部 任期制助手)】
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