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week58 実務家教員による臨床研究指導:小児用抗菌薬含有グミ製剤の開発


 実務家教員の役割の一つとして学生への研究指導があります。岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室では、岐阜大学医学部附属病院や静岡県立大学と共同で、小児の服用に適した抗菌薬含有のグミ製剤の開発を行っております。
 抗がん剤投与後の免疫不全状態の小児患者では、感染症予防として抗菌薬であるスルファメトキサゾールとトリメトプリムの配合剤(ST合剤)の内服が必要不可欠ですが、苦味の強い薬剤であり、小児の投与量にあわせて錠剤を分割したり粉砕したりすると苦みが強く感じられ、服用に伴う苦痛が大きいことが問題となっています。お菓子のグミは咀嚼して容易に服用することができるため、グミに医薬品を配合することで小児患者に有用という報告があります。私たちは、小児の服薬アドヒアランス向上のため甘味料、ココアパウダー、香料(キャラメルフレーバー及びミルクフレーバー)による官能的マスキングを施したST合剤含有グミ製剤を調製し、健常成人を対象とした非盲検ランダム化クロスオーバー法による服用感評価を行いました。結果として、官能的マスキングにより、香り、苦味、甘味、総合服用感が有意に改善され、服用性に優れたST合剤含有グミ製剤を調製できました。
 これらの研究内容を、3月に札幌市で開催された日本薬学会第143年会において発表した当研究室の5年生に、優秀発表賞が授与されました。さらに、現在、小児患者に対する臨床薬理試験を開始しており、今後の小児患者における服薬アドヒアランスの向上が期待されます。学会における優秀発表賞は、研究内容のみならず、発表や質疑応答の態度なども評価されます。当研究室では、多くの学生が学会で受賞できるよう実務家教員が臨床研究の指導を行っております。
岐阜薬科大学プレスリリース
https://www.gifu-pu.ac.jp/news/2023/04/-143.html

【文責:林秀樹 岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授】
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