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week46 薬学における実務教育


 薬学部を卒業して薬剤師免許を取得後の業務は大きく分けると、病院や薬局での臨床業務、製薬企業での医薬品開発や生産管理、情報管理業務、国や自治体での薬事関連行政などがあります。何れの進路に進むにせよ、薬剤師国家試験を受験するためには、臨床に係る実践的な能力を養うため大学において6年間の薬学教育を履修する必要があります。なかでも、主に5年次において履修する5ヶ月間の病院・薬局実務実習は、学ぶ内容も多く、学生にとっては大学生活の中で大きなウエイトをしめています。正確には4年次の冬から5年次の冬までの13カ月間を4つの期に分けて、学生はそのうちの連続した2つの期で、薬局実習11週間・病院実習11週間の順に履修します。薬局実習では、調剤や服薬指導、一般用医薬品、在宅医療、地域連携、多職種連携や学校薬剤師業務などを学び、病院では一般的な調剤や服薬指導に加えて抗がん剤の調製や病棟業務、チーム医療や医師への処方提案など多くのことを学びます。
 2022年度の第4期の病院実習が2月10日に終了し、2023年度の第1期の薬局実習が2月22日から始まります。各薬学部の多くの実務家教員は、実務実習に出る前の学内での実務教育を担当していますが、学生が有意義な実務実習を履修できるような環境づくりも行っており、定期的に実習施設を訪問して、指導薬剤師と連携しながら学生の指導も行っております。筆者は旧4年制課程の薬学部でしたが、当時の短期間での病院実習においても、経験した内容は30年近く経た現在でも鮮明に覚えており、現在の業務に繋がっていることも多くあります。当時、病院実習中に地下鉄サリン事件が発生し、東京から遠く離れた愛知県の病院でしたが、解毒薬の在庫確認など今でも忘れられない実習でした。実務実習で学ぶ内容は、薬学生が卒業後も生涯にわたって役に立つ内容です。5カ月間の実習を終えて、医療人として大きく成長して大学に戻ってくる学生をみることは実務家教員の大きな喜びでもあります。

【文責:林秀樹 岐阜薬科大学 地域医療実践薬学研究室 教授】

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