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week41 実務家に求められる教員としての専門性


 TEEPシンポジウムが昨年11月16日に開催されました。ディスカッションでは「実践知の捉え方と学ぶ場づくり」について、形式知を伝えるさまざまな工夫が実務家教員の方から披露され、参加者からもご質問をいただきました。

「Off the Job TrainingはどのようにOn the Job Trainingと組み合わせてゆけば良いのでしょうか?」

 確かに、医療系の現場では、実習だけでは現場で使える知識とならないという問題や、膨大な形式知のうち何が実際の治療に必要か学生がわからないトラブル、あるいは広告・マーケティング分野でも情報に埋もれ、暗黙知を形式知に変える以前の問題が起こりつつある、などの課題についてそれぞれご発言がありました。
 そのため、質問者はOff the Job Trainingの限界が語られているとお考えになったようです。つまり、On the Job Trainingで大半がまかなえるとしたら、いったいOff the Job Trainingに何の意味があるのだろうか、というのが質問の主旨でした。ところが、その質問者は、私のコメントを聞いて「納得しました。ありがとうございました。」とチャットで質問をすぐ撤回されたそうで、これまた驚きました。
 教える際に重要なことは知識の多寡ではなく、その内容と質にあります。学生が、テーマの全体像を理解して、問題解決のスキーマを手に入れるためには、何をどのように教えればよいのか。シンポジストの問題意識はそこにあったように思います。当然ながら、実務家としての経験と知識を単に伝えれば良いとお考えの方は、一人もいらっしゃいませんでした。同様に、質問者の方もそうは考えず、「実務家が教えるためには、教員としての専門性が必要である。それはどのようなものか。」という問題意識があればこそ、私のコメントを即座に理解されたのだとわかりました。
 実務家に求められる教員としての専門性とは何か。それを追求し続けることが進化型実務家教員養成プログラムの核心なのではないか、そう感じた1日でした。

【文責:山田勉(名古屋市立大学高等教育院 教授)】
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