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week38 薬学生の臨床教育と実務家教員


 薬学教育において専任教員の6分の1を実務家教員とすることが大学設置基準(昭和三十一年文部省令第二十八号)により求められており、実務家教員とは概ね5年以上の病院や薬局での勤務経験を有するものと定義されています。実務家教員は、薬局や病院の薬剤師と連携して、実務教育を行っています。薬学部では薬剤師としての実践能力の習得、医療人としての倫理観や使命感の醸成を目指して、経験豊富な指導薬剤師の指導・監督の下で、5年次以降に病院・薬局などの医療現場での5か月間の実務実習が行われます。
 しかし、薬剤師資格を持たない薬学生が実務実習を行うには、学生の知識・技能・態度が一定のレベルに到達していることを保証する必要があります。4年次の後期までに、臨床における実践的な能力を醸成するための講義や実習が学内で行われ、実務家教員がこの指導に携わっています。また、毎年12月から1月にかけて全国の薬学部では知識・技能・態度を確認するための薬学共用試験が実施されます。薬学共用試験は、薬学共用試験センターが実習を担当する病院・薬局や社会に対して「実習生の質的保証」を目的に、中立公平な立場で試験を実施しています。全国の大学で統一された試験であり、主に知識を評価する客観試験CBT (Computer-Based Testing)と、実技を通して主に技能・態度を評価する客観的臨床能力試験OSCE (Objective Structured Clinical Examination)の2種類から成り立っています。
 薬学生は、実務実習において、薬剤師の指導・監督の下に、卒業前に薬剤師としての実践能力を十分に修得しておくことが求められます。しかし、実務実習において、資格を持たない薬学生が薬剤師と同じ行為をすることは、薬剤師法第19条の「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない」という規定に反します。このため、薬学生が実務実習を行うために、「薬学共用試験で一定水準以上の成績を修めていること」が必須です。CBTはコンピューターを用いた五肢択一式の試験で、蓄積された約34,000題から受験者ごとにコンピューターが310題を出題し、受験者はコンピューター上で6時間かけて解答します。また、OSCEでは模擬患者による医療面接、処方せんが患者さんにとって適切かどうかの処方せん監査、正確かつ迅速な医薬品の調製、無菌操作、調剤した薬に間違いがないかの調剤薬監査などの実地試験があり、岐阜薬科大学においても実務家教員を中心に準備が進められ、試験が実施されます。

【文責:林 秀樹/岐阜薬科大学・教授】
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