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week32 まちづくりの現場におけるシミュレーションゲーム


 わが国では現在、大多数の自治体で人口減少と少子高齢化が進行している。こうしたうごきに伴い、各自治体が抱える課題は今後もいっそう多様化・複雑化し続けることだろう。もっとも、このような状況を受け止め、解決に向けて行政と住民が問題意識を共有し、何らかの取り組みに着手しはじめるのは、決して容易でない。また、現場においては住民を巻き込む具体的な手法が分からず、行き詰っている場合も少なくない。
 このようにみると、まちづくりでは住民との協働が求められるようになって久しいものの、現場においてはツールやノウハウを欠いており、なかなか前進しない状況にあることがわかる。こうしたなかで、ひとつの活路を見出せるのが、まちづくりの現場で普及しはじめているシミュレーションゲームの活用である。これらを積極的に活かしたワークショップや研修が各地で開催され、少しずつ状況改善が始まっている。
 こうしたシミュレーションゲームの特徴としては、初心者であっても楽しみながら気軽に参加・体験できる点に求めることができる。具体的なものとしては、災害時に住民が身を寄せる避難所の円滑な運営を疑似体験する「避難所運営ゲーム(HUG)」、カードを用いながらSDGsの必要性や可能性を考えていく「2030SDGs」、今後の自治体財政について必要な視点や発想を学ぶ「SIM2030」があげられる。

 本コラムではこうしたシミュレーションゲームについて、3点指摘しておきたい。第一は、「習うより慣れよ」である。実際に、HUG、2030SDGs、SIM2030は全国各地で定期的にセミナーやワークショップが開催されているので、関心があればぜひ参加をお勧めしたい。第二は、「他者の発信を参照せよ」である。上記で紹介したシミュレーションゲームのなかには、動画サイトに説明動画や紹介動画がアップされているものもあり、これらを視聴すれば具体的なイメージをつかむことができる。第三は、「活用の輪を広げよ」である。シミュレーションゲームのやり方をマスターしても、自分ひとりで留めていては周囲への広がりは期待できず、いかにして波及させていくかが問われる。
 本コラムで紹介したシミュレーションゲームは、もちろん大学の授業でも活用可能である。実際に、筆者も過去にはまちづくりに関連する授業において活用したところ、学生からの反響も大きかった。実務家教員のみなさんには、ぜひともご自身の授業のなかで、こうしたシミュレーションゲームの活用可能性も模索してもらいたい。


【文責:三浦哲司(名古屋市立大学大学院人間文化研究科 准教授)】
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