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week6 SDGsと若者世代


 SDGs(Sustainable Development Goals)は2030年までに達成することが目指された国際的な開発目標である。さまざまなメディアを通してそのアイコンを目にしたり、バッチをつけている人を見かけたりする機会がここ数年で格段に増えた。では、その実態はどうだろう。すでにその前半期の終わりにさしかかっているいま、「誰一人取り残さない」という理念を実現させるための私たちの行動が問われている。
 2016年以降、年に数件ではあるが、その必要性を感じた企業や行政の担当者が筆者のところにも訪れるようになっていた。講演依頼もあれば、学生との協働プロジェクトの可能性を探りたいという相談もある。そうした話のなかでどの組織にも共通しているのが、社内の世代間ギャップである。若者世代と上部の意識の違いが顕著で、若者世代はSDGsをはじめとした取り組みを社外で実行している。それを社内でつくるにはどうしたらよいのかを模索しているという。
 グレタ・トゥーンベリをはじめとする若者らは、SDGsに関連するような状況に対して切実感をもっている。それは彼/彼女ら自身が経済活動を優先とするこれまでの開発によってさまざまな被害にさらされてきたという思いがあるからである。その一つが気候危機である。「あなたたち大人は寿命で死ぬが、私たち世代は気候危機によって死ぬ」というスローガンをもって、デモに参加する若者らの写真を筆者も各種メディアを通して見たことがある。若者世代が抱いている思いをどれほどの人が共感できているだろう。
 こうした状況下でも彼/彼女らは、最先端な技術を活用しながら新たな文化を創造するなどの未来に向けた動きをつくっている。SDGsの立役者とも呼ばれるESD (Education for Sustainable Development: 持続可能な開発のための教育)の普及・推進を担っているユネスコは若者世代について次のように説いた。「持続可能な開発をより広く、そしてより緊迫感をもって促進していく可能性をもっている」(UNESCO, 2014:22)。これまでの開発による地球環境や人間を取り巻く危機的な状況への「緊迫感」がSDGsに関連する取り組みへと若者を誘う。若者世代はSNSなどで得られる情報からそうした行いができるところを見つけて、日常のなかでそれを実践する。換言すれば、できないと思ったら、できるところを自ら探すのである。若者目線に立ったとき、みなさんの組織はどうだろう?どのように見えているだろうか。若者らがSDGsに抱いている温度感、またそれに対する行動力にどれほど意識的でいられるのかが問われているのかもしれない。

引用文献
UNESCO (2014). UNESCO Roadmap for Implementing the Global Action Programme on Education for Sustainable Development. Paris: UNESCO.

【文責:曽我幸代(名古屋市立大学人間文化研究科 准教授)】

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