TEEP NEWS LETTER Vol.44
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るようにしました。「入学以来、成長の達成度は想定と比較して何%ぐらいですか?」と聞き、もし差があるとすれば「その差の要因は?」という問い掛けをして、ペアワークで考えてもらいました。 授業を終えた後のリアクションシートでは、私の業務や海外勤務、留学に関する質問が多く出ました。これはある程度、想定通りでしたが、私にとって想定外のリアクションが2つありました。1つは「メンタルの維持・立て直しに関する質問」がものすごく多かったこと。もう1つは「一歩踏み出すためのきっかけが得られない」という意見が多く寄せられたことです。 これらを通して私自身が感じたことは、今どきの学生が抱えている環境は複雑ながら、一生懸命考えて行動しようとしていること。コロナの影響を直に受け、高校時代は閉じこもった生活をしたのに、大学時代に一気に活動できるようになるわけがありません。そこは大人がしっかり理解しなければいけないと考えました。 また、目の前のことに日々頑張っているので、長い目でキャリアを考える機会がない。そんな学生たちにキャリアデザインの授業はとても価値のあるもので、そこに私自身が携われたことはありがたい経験でした。実務家教員が社会の経験や学生が知り得ないような経験を伝えていくのは、学生たちの将来にとって有効だと感じました。   私は普段はゼネコン系の管理会社にいますが、吉本趣味で顧客ロイヤリティやSDGsについて研究しています。直近1年間は関西学院大学や大阪経済大学、名市大で主に社会人をメインに研究のことを教え、中国系の留学生の指導もしました。 名市大で授業を持たせてもらった大学生はおとなしく、授業中の質問が少なかったので、やる気のある社会人大学生とは対象的でした。1年生はまだ高校の延長の感覚で来ているのかもしれません。また、キャリアデザインを教えても、今の学びが将来にどうつながるのかのイメージがまだ難しいのかなと感じました。 大学での授業は、全体的には楽しかったです。学生にもそれが伝わっているのか「いつもニコニコしていますね」と言われました。自分が学生からどう見られているのか、やってみて初めて気付けました。一方、苦労したのは授業の準備、特に構成とペアワーク、そして質問への回答でした。 実際にキャリアデザイン実践編でどのように授業を計画したのかというと、内容は前の担当の先生と被らないようにし、フックの掛け方と「笑い」を入れるように考えました。実際はなかなか思い付きませんでしたが。 1回目の講義で自己紹介として自分の経歴と資格を紹介したところ、資格の質問が多かったので、やはり資格は皆さん興味があるのだと思いました。私自身が学生時代に趣味で始めた資格取得を活かして就職先を探したので、ペアワークでは「皆さんの個人的な取り組みは何ですか」と問い掛けました。「それを活かした自分ならではの、もしくは向いている職業や分野は何がありますか」とも聞いたのですが、これがなかなか難しかったようです。私自身の反省すべきところではありますが、逆に分からないものを与えるということで、自分自身で考えることにはなったかと思います。 2回目の「一皮むけた経験」の講義では、企画職・マンション管理での経験に加えて「エフェクチュエーション(成功した起業家たちに共通する考え方を体系化した論理)」について触れたところ、リアクションペーパーでこれについての質問が多くありました。ペアワークを通じて考えてもらい、エフェクチュエーションの実践にはなったのですが、行動までには至らなかったのが反省すべきところです。 3回目のキャリア開発シートの講義の時点では、何人かからレポートが出てきましたが、皆さん進路について迷っていることが分かりました。そこで何かいいきっかけがないかと考え、問いの立て方について教えることにしました。例として「自転車事故を減らすためにどのようにしたらヘルメットをかぶってくれるのか」という問いに対して、「どのようにしたら髪の毛がぐちゃぐちゃにならないでヘルメットをかぶれるのか」や「どのようにしたら必要な瞬間だけヘルメットをかぶれるのか」とリフレーミングした問いの立て方を紹介しました。 一方、授業のテーマを決めていなかったのも反省点で、振り返ってみると「問いと行動」といった感じだったと後で気付きました。ボリュームが多めで、難易度ももう少し下げるべきだったので、今後調整していきたいと考えています。 いかに学ばせるかは、その人その人に合わせていかなければなりません。これをやっていくと副次的に、部下の指導にも変化が出てくるものと思います。自分自身にも意外な発見や新たな気付きがあり、今後も反省をいかしながら授業をしていきたいと思います。振り返ると出てきた「問いと行動」のテーマ

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