TEEP NEWS LETTER Vol.44
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名市大非常勤講師の4つの肩書きがある状態です。 TEEPでは基本コースでいろんな学問分野の最新の動向を知ることができ、専門コースでは経営学、経済学の大学院教育を理解できたのが非常に大きかったです。それを通じて実務家教員の使命は何だろうとこの3年間考え、自分なりに出した答えは「越境力、往還力の発揮」でした。 大学も教育だけではなく研究と社会貢献という、大きく分けて3つやらなければいけないことがあります。実務家教員こそ、この3つの柱の中で越境力を発揮する、または実務社会との間で往還力を発揮するといった横の展開を大いに期待されているのではないかと考えました。それによって「学びと仕事をつなぐ」「学生の動機付けを高める」「社会人とリカレント教育をつなぐ」ことができます。 TEEPでの学びは、授業の構想を考え、効果の高い授業を実践することに効果がありました。キャリアデザイン実践編では、自身の経験や自身の事例を入れておくのですが、さらにそれを補強する経営学の理論や思考を引き出す経営支援のフレームワークをはめ込んで学生に興味を引いてもらうようにしました。具体的には私のサラリーマン経験を語ったとき、「弱いつながりの強さ理論」という経営学の理論をはめ込みました。こういった理論を見せると学生も乗ってきて、興味を持って聞いてくれました。 「相手に合わせた臨機応変な場づくり」も非常に有効でした。次世代エネルギーの演習では、議論が進まなければ問いを投げ掛けたり、別の視点を与えてみたりし、逆に議論が進んでいれば観察者に徹したり、書記役に代わったりしました。自分の所属するエネルギー業界の話にはあまり学生の興味がなさそうだったので、手短に仕上げて、逆に事例に合った経営学の理論には興味を持たれたので、そこに時間を割きました。ペアワークでは発表者の指名方法を工夫しました。皆さん真摯に深く考えているけれど、自分からは挙手しなさそうだったので、いい話が聞けた人に挙手してもらい、その話の作り手に話してもらいました。 名市大の学生は学習に対して極めて真面目で、国際化への準備意識が高く、皆TOEICなどを意識して勉強しています。その学びが将来、実務社会でどういかせるのか、イメージできるような先輩の体験事例やレポート、理論を情報提供することが重要だと感じました。名市大では医学、薬学、理学、芸術工学、看護学など多様な学生が学んでいます。そういった学生にPBLで越境学習を体感してもらい、さらに多様な価値観や視点の相互作用の醸成ができればと考えています。 TEEP修了以降はキャリアデザイン3講座、多文化共生と国際貢献の15講座をやらせていただく予定になっています。研究に関しては中小企業のBCPに関して修士論文を書いたので、それを地域活性学会や経営診断学会などで発表したいと思っています。社会貢献についてはリカレントフォーラムでの登壇や、アイデアひらめきコンテントに参加し、実務社会では引き続き企業の社員をしながら、中小企業診断士としてBCPや事業承継、組織開発などを勉強しているところです。娘のアドバイスで「成功体験よりも失敗談」     私は静岡県浜松市出身で、今は名古屋市緑区坂本に住んでいます。54歳で妻と娘2人がいて、柴犬のリョーマを飼っています。「坂本さんちのリョーマ君」として近所では評判です。1993年にデンソーに入社し、2022年にTEEPの第2期を修了しました。 キャリアデザイン実践編では23年11月と12月に合計6コマを担当。医学、薬学、経済学などのあらゆる学部から聴講しに来てくれましたので、皆に共通する内容を話しました。 講義の構成はTEEPの模擬授業のとき、鵜飼先生に「90分、学生の興味を衰退させずにうまくまとめることが大事」と伺ったことを思い出して考えました。そこで、まず学生のことを知らなければいけないと、当時ベストセラーになっていた『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』という本を買いました。必ずしも名市大の学生に当てはまるとは限りませんが、今どきの学生は「横並びが基本」「人の意見は聞くけれど、自分の意見は言わない」「自己肯定感が低い」などの特徴があると事前にリサーチをしました。 さらに、大学生と高校生の娘たちにもいろいろなアドバイスをもらいました。TEEPの授業で鵜飼教授に教えていただいたフックを掛けるとは、娘の言葉で「キーワードを多用する」。そうすると学生たちが後で振り返るときに話を思い出せるそうです。また、「成功体験よりも失敗談を教えて」と言われました。そこで、私の「一皮むけた経験」の授業のときには、とにかく失敗談をたくさん並べました。 TEEPの授業で鵜飼教授から一方的に喋ってはダメと教えていただいたため、クイズ形式で問い掛けをす

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