TEEP NEWS LETTER Vol.41
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佐川町の集落活動センターたいこ岩でピザ焼き体験。石窯は、地元の方とゼミ生たちとで作った震の対策もしていかなければなりません。これから先、日本全体が背負っていかなければならない課題を、高知県は先行して抱えているわけです。 一方で、私たちは地域ととても密接に結び付いてきた大学です。昭和21(1946)年の昭和南海地震のときには、学生たちが被災地でボランティア活動をした記録があります。そこから、地域で合宿しながら1週間の実習をしたり、食文化を記録したりというように、「地域で学ぶ、地域に学ぶ」という伝統が発展してきました。 私たちにできることはモノづくりではなく、コトづくり。地域のみなさんと一緒に課題解決に取り組み、その中で学んだことをキャンパスに持ち帰って専門教育に結び付ける。そうした思いを集約したのが「域学共生」という言葉なのです。   私は安芸市の奈比賀という地域でお世話になっ秋谷ていますが、コロナの影響で、この3年間はまったく活動がストップしていました。 しかし、地域の中にはそれまで実施していた祭りや月1回の10円カフェをなんとか再興したいという思いが強く、今年度は私のゼミが「立志社中」として地域で活動をさせていただいております。その中で7年間途絶えていた伝統的な絵馬や灯籠の行事が復活することになりました。学生が何かを主体的にするというより、あくまでも地域の思いをサポートするという位置付けで活動をしています。   域学共生は継続が大事です。課題解決のゴー清原ルは、地元の方が「もう来なくていいよ」と言ってくださるまで。だから1年間で終わることはありません。立志社中は4年間も5年間も、学生が代替わりをしながら同じ地域で活動しています。 私が関わった香美市平山地区では、5年間ほど学生が通って運動会や夏祭りが復活し、県の補助金を獲得して廃校でピザを焼く石窯を作りました。みなさん喜んでくださって…。最終的に30年ぶりに復活した青年団が「これから先は自分たちでやります!」と言ってくれたので引き継ぎました。 学生は「人の心に灯をつける」ことができます。地域の皆さんのやる気を目覚めさせ、そのやろうとしていることがうまくいくようにお手伝いができます。変えるのは地域の方たち。平山地区の事例は、学生が地元の方たちの心に灯をつけることができた成功例の一つです。集まって楽しい「集楽」になっていくようにするきっかけを作る、あるいは、そのための情報や方法を提供するのが大学の仕事です。 逆に、コロナ禍では、学生がどうしても継続的に通えなくなって地域の方に「ごめんなさい」と謝った事例もあります。地域に入るというのは、それほど覚悟がいることなんです。   私の場合、学生には現地に行く前に地元の人秋谷に聞きたい質問やテーマを考えさせ、それをメンバー間で共有させます。あとは現地で学生が主体的に地元の人とコミュニケーションを取るようにしています。私の方から特段何も言いません。 教員は先に地域と交流して場をならして、学生が地域に入りやすくする準備をするのも一つの役割かと思います。   実際には、役場の職員らがキーパーソンとして清原地ならしをしてくれないとうまくいきません。行政の担当者は、どこの地域に元気があるかないか、学生に入ってもらった方がいい地域かどうかを知っています。そこで本学の域学共生コーディネーターが連携していきます。地域を選ぶ難しさと選ばれる難しさ

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