TEEP NEWS LETTER Vol.38
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人と人とのネットワークづくりにも尽力(産学官民コミュニティでのトークセッション)産学連携による研究開発成果の発信にも注力(高知県ものづくり総合技術展)ットとして違いはあるのでしょうか。なまじ研究職だと、事務的な黒子の役割をなかなか果たしません。しかし、それを超えないと本当の意味での産学官の連携はあり得ないのでは。 私は産学官連携の専門監として、研究のマネジメントから事務のオペレーションまで幅広い業務に携わっています。例えば隣の高知大学には、事務職とは別に何人か産学官のコーディネーター役の専任教員がいます。彼らは研究活動というよりは産学官連携の実務をやっている印象があります。一方で、私は研究者を支援するためのさまざまな事務仕事もやります。良くいうと研究のことも事務のことも分かる人、悪くいうとよろず屋です(笑)。   具体的にどのようなプロジェクトのコーディネートをされましたか? 高知工科大学には微細な氷を作る「スラリーアイス製造技術」があるのですが、その技術を応用して「凍結濃縮」という技術の実用化、事業化に向けた産学官連携プロジェクトに携わりました。途中で参加企業が離れてしまって次の連携相手を探すことになったとき、「どこの門を叩くか」で非常に慎重な議論になりました。最終的に高知県工業会に声を掛け、パートナー企業を探す会を開きましたが、地域発や地元連携にこだわりたいという研究者の熱意を後押しするため、企業の本気度を何度も確認した記憶があります。 また、特徴的な構造を持ったナノ粒子を作る技術開発を支援したときは、東京の国際ナノテクノロジー総合展に出展したところ、複数の民間企業から関心を持たれました。しかし、サンプルとして供給してほしいという量が「とりあえず1トン」。大学での実験で作れるのはせいぜい1回50ミリグラムだったので、量産化を担ってくれる企業を探す必要性を痛感しました。地元の化学メーカーがまさにそうした小さい粒子を作る技術を求めていてマッチングでき、大量合成の技術開発がスタートしました。   佐藤さんは2021年度の「産学連携教育イノベーター育成プログラム」を受講されました。そのきっかけは。 直接のきっかけは2020年からのコロナ禍です。私はそのころには大学教育に関わりたいという思いを抱きつつ、コロナ禍で進んだ遠隔授業の波に乗り遅れてはいけないと、国立情報学研究所主催の遠隔教育に関するシンポジウムを聴講しました。そこで熊本大学の鈴木克明教授が講演されていた「インストラクショナルデザイン」が面白いと感じ、自分で参考書などを買って勉強しましたが、あまりピンと来ませんでした。座学による自習では限界があり、より体系的に学ぶ機会はないかと思っていたところ、インターネットで「大学改革を担う実務家教員フェア2021」の情報が入ってきて、「産学連携教育イノベーター」とありました。コロナ禍で新たな教育プログラムに参加

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