TEEP NEWS LETTER Vol.37
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vol.37NewsLetteril : teep_office@sec ..-nagoya-cuac発行者 TEEPコンソーシアム実施委員会  事務局 名古屋市立大学教務企画室内 〒467発行日 2023年3月1日  連絡先 E-ma.jp8501 名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1進化型実務家教員養成プログラムコラム 4月より進化型実務家教員養成プログラム「基本コース」第3期がスタートします。TEEP実施委員会では、コンソーシアムの様々な情報発信についても積極的に行っています。詳しくは随時以下のWebサイトにて案内してまいりますので、是非ご覧ください。   「論文サポート・スクエア」は、若手研究者や実務家の効率的な論文作法修得支援を目的として、2年半前に開設しました。実務の基本定石の1つに「徹底すること」がありますが、その定石に従い、わが国で最も濃密な支援を目指して取り組んでいます。 改めてわかったことは、わが国には実務家の論文作成を支援する機関がなく、大学でも院生に対する十分な論文指導はなされていないということです。利用者の大半は、実務家や実務出身の教員ですが、幸い学位論文を始め学会誌等への投稿論文は全て採択されています。 また、相談内容は論文関係が半数強で、残りは大学院入学時の研究計画書や大学教員公募の際の応募書類、模擬授業や面接、あるいは会員間の研究連携、情報交換支援など、多岐に渡っています。 学会員のニーズに応えるのが学会運営の基本ですので、多様な相談に応え得る体制づくりを進めているところです。中核校:名古屋市立大学連携校:岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学地域活性学会論文サポート・スクエアの創設と支援経験から見えてきたこと社や入庁してからも、自分で能動的に考えたり動いたりするのではなく、人に教えてもらうのが当たり前になっています。言われたことはやるが、言われなければ何もやらない。これは問題解決能力以前の問題で、日本の教育の大きな弊害だと痛感します。 ただし、室蘭のサークルの例で分かったように、今どきの学生は、最初はまったく何も知りませんが、社会で何かに取り組む実践的機会を得ると、砂に水がしみ込むように変貌を遂げます。それは捨てたものではないと感じました。   だからこそ、実務の分かる教員に意義がありますね。 実務の世界を知っている先生が、大学と現実世界とをつなぐことは非常に重要です。本来は現実社会を知っている人が大学の責任者であるべきですが、実際は純粋な学術研究者が主流で、実務研究者はサブの位置付けです。組織で働いたことのない学部上がりの教員は、一人親方のようなワンマン型も少なくないのですが、実務家教員は組織での働き方を知っています。これからは、実務家教員がもう少し組織の中に入って、物を言ってもいいのではないでしょうか。 傍観者や観察者、中立の第三者の視点からでなければ見られない景色もある一方で、当事者の視点からでなければ見えない景色も同様にあります。実務家教員にはその双方の視点から社会を見ることができる強みがあります。実務家教員には、失われつつある学問の「現実有意性」を取り戻す原動力になってもらいたいと思います。   最後に、TEEPに対するご意見を一言。 私は、TEEPでいう「進化型実務家教員」とは、医学でいう研究医に当たると思っています。社会の研究医である研究者として、臨床医である実務家と問題意識を共有しながら解決に取り組むという、研究者の本来あるべき姿を取り戻す、研究者と実務家が同じ世界に住むための試みの1つともいえます。 当然、分裂した世界の統合作業は、研究者側にも求められます。従って、実務家を対象とした「進化型実務家教員」の育成をファーストステップとすれば、研究者、実務家双方を対象とした「進化型教員」の育成がセカンドステップになると思います。いずれも社会の研究医として、研究者の本来あるべき姿への回帰を目指す取り組みであり、これは社会が切に待ち望んでいることでもあります。この意味でいえば「進化型」というより、「本来型」もしくは「正統派」の教員を育成する試みといった方が正確かもしれません。   本日は、貴重なお話をありがとうございました。https://teep-consortium.jp/ 

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