TEEP NEWS LETTER Vol.35
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インフラ企業との産学連携で、若年層へのブランディングプランをプレゼンする学生   専門職である実務家教員が担っていくべき役割は。 実社会と学生との橋渡しだと思っています。卒業後、どんな世界に行っても必要になる能力を開発し、実社会に出たときのギャップを少なくしておくことが大事だと思っています。大学において、学術基盤教員もスタッフの方々もやらないことをするのが実務家教員の役割だと思っています。 例えば、学生たちが一様に進路に悩むのは、自分が何に向いているか、何がしたいのかさえ分からないからです。学生自身が進路をどういう考え方で選択すべきなのか、どういう生き方を選ぶべきなのかが分からないので、私も一緒になって考えたいということを学生に伝えています。そのために、授業でもできるだけ学外との接点を作るようにしています。世の中がどのように動いていて、学生自身がどう動いていけるのか、何をしていると幸せなのかを感じ取らせ、頭の中を整理してあげるようにしています。そうした相談ができる親でも”先生”でもない大人、サードプレース的な身近な大人が実務家教員の役割の1つだと思っています。進路のこともですし、私に起業経験があることから起業に関することなど、ゼミ生以外の講義の受講生からの相談も意外に多く、学生一人ひとりに対して個別にやっています。   実社会ではどんな能力が求められますか。 どんな仕事でもアイデアを生み出すための力や、チームで進めるためのノウハウを持っていなければなりません。また、社会人になると苦手な人とも一緒にやっていかなければならないので、そのためのコミュニケーション能力が求められます。 私が重要視しているのは、自分の思いを正確に相手に伝えられる「表現力」です。それが苦手な学生がすごく多い気がしています。それをどうやって身に付けるか。授業の中で示す場合もありますし、演習やグループワークをしているときに、普段学生自身が大事だと思っていることや苦手だと思っていることがどこまでできたのか、自己評価をさせています。その自己評価と、私から見た実際の姿とのギャップを本人たちに伝えるようにしています。   社会課題解決の道筋や持続可能性においても、意識改革や専門職を含む多職種連携が欠かせません。経験値の社会還元をされておられる中での思いをお聞かせください。 社会課題解決型の取り組みや企業との連携は、授業としてやるのは難しいということにこの半年間で気づきました。限界があると痛感しています。多くの学生たちの頭の中は、授業は単位を取るものという認識になっていますし、15回で終わる授業では長期にわたるものは難しいです。これまでとはぜんぜん違う実践的な教育と産学連携のあり方を作らなければならないと痛切に感じています。   私も悩みましたが、前任校では履修モデルを整え、2年にわたり学生がプロジェクトに挑戦できるようにしました。例えば食品開発プロジェクトで言えば、商品を作って終わりではなく、食べてもらって販売をしてプロモーションの見直しをして、さらに商品自体これまでにない実践的な教育を

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