TEEP NEWS LETTER Vol.33
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大学サッカー部でのトレーナー実習揮させられる力が求められます。実務家教員には、スポーツ現場での豊富な指導経験とスポーツ科学の研究業績を活用してトップアスリートを育てることが期待されています。 また「スポーツの普及」においても実務家教員は求められています。子どもの運動能力の低下や高齢者の自立能力の喪失、労働者の身体的・精神的負担の増加など、健康に関する課題は社会に山積しています。小中学生への体育授業や課外活動、自治体や企業においてもスポーツや健康に関する指導のニーズが高まる中、研究業績と実務経験をいかして運動の習慣のない人にもスポーツの意義や楽しさを伝えられる人が、ますます必要とされています。 さらに「スポーツ環境の整備」においても実務家教員の力が発揮されると考えています。競技場や公園などのスポーツ施設を、どこにどう建設するのか。インフラ整備や都市計画においても「スポーツが楽しめるまち」を住民に提供することができるわけです。こうした施設の運営には、スポーツビジネスやマーケティングができる人材も求められています。スポーツ経験がある方が実務家教員となり、広くその知見を伝えられれば、スポーツを楽しむ市民をより増やすことができると私は考えています。   私の専門はストレングス&コンディショニング葛原とアスレティックトレーニングです。アメリカの大学院への進学をきっかけに、現地で学生スポーツのトレーナーや競技大会のメディカルスタッフを経験しました。帰国後はプロ野球や企業スポーツチームのトレーナーを務めたのち、大学教員となりました。 教員になった時、大きな戸惑いを感じたことがあります。多くの私立大学が「面倒見の良さ」を売りにしていますが、教職員が学生たちにお膳立てをし過ぎて、かえって学生の自立を妨げていないかと疑問を持ったのです。私は学生たちが自ら考え、課題を解決する機会を重視しています。実践を通じて学生の自立をサポート    スポーツに関わる分野で広く実務家教員が求稲葉められていることが分かりました。 では、実際にトップアスリート育成の経験を活かして中京大学で教鞭をとられている葛原憲治先生にお話を伺います。 ゼミナールでの現場実習では、それぞれの学生の目標に合わせて実習現場を選ばせ、講義で学んだ知識を応用力や知恵に変え、社会での実践力を身に付けてもらいます。 大学サッカー部でトレーナーとして実習を行う学生は、GPSデバイスを装着した選手の動きから得られるデータを測定し、分析結果をチームにフィードバックしています。 以前に高校の野球部で実習を行った学生は、練習メニューの作成や実技指導を行いました。実績が評価され、卒業後はその学校で保健体育の教諭で採用され、野球部のコーチを務めるまでになっています。 実習に加え「コーポレートフィットネス」のプロジェクトにも取り組んでいます。「健康経営」に注目が集まる中、福利厚生の一環として従業員向けに肩こりや腰痛を改善するエクササイズ・プログラムを学生たちが考案し、企業に提案するというものです。 ただ、プログラムを考えるところまではできたのですが、実際に企業にプレゼンすることはできませんでした。しかし、このように実践力を高める指導や、現場の課題を探求し、問題解決につなげる研究が実務家教員の強みであると感じています。   ありがとうございます。企業へのプレゼンが稲葉できなかったのは、なぜでしょうか。   学生が企業にアポイントを取るのですが、「検葛原討して連絡します」と言われると、鵜呑みにしてずっと待ってしまったのです。もう一歩踏み込むことができなかった。こうした場合に教員として学生をどうサポートするかは、今後の私自身の課題でもあります。

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