TEEP NEWS LETTER Vol.32
3/4

実習風景公認心理師には更新制度はありません。臨床心理学は毎年のようにアップデートされている学問です。例えば、私が大学院時代に学んだことと、現在の疾病についての情報や解釈はかなり違ってきています。常に新しい知識を取り入れるためにも、専門職として研鑽を積み続けることは欠かせません。 また、公認心理師は実習を通じて医療や教育、法律といった他分野の専門家との多職種連携を学ぶことも重視されています。大変重要なことですが、他分野との連携の基盤となるのは心理職としての専門性です。心理検査や心理アセスメントなど、心理職ならではの専門性を高める科目は臨床心理士の養成課程の方が充実しています。ですから、現時点ではどちらの資格も必要であると私は考えています。   臨床心理学の専門性を深める側面の強い臨床不破心理士と、実践の知を積み重ねる公認心理師の両方の資格によって、専門職としての実力の証明になるとも言えそうですね。 ではこれまでのお話も踏まえて、現在の大学における心理学教育の状況を神谷先生からお聞きしたいと思います。   国家資格というのはやはり非常に影響力の大神谷きいものです。国家資格が取得できるのであれば心理学部に進みたいという高校生も非常に増えています。オープンキャンパスでも公認心理師資格についての質問を大変多くいただきます。 ですから、今後はますます公認心理師の受験資格を取れる学部やコースを作る大学等の教育機関が増えてくると思われます。それに伴い、公認心理師の指定科目を教えられる教員、特に実習指導ができる教員や、実習先での実習指導者がかなり多く必要となってくるでしょう。 そこで実務家教員への期待も高まっています。学内でも、実習先でも、臨床や対人支援の実務経験を学部生や院生に実習を通して伝えていける人が切実に求められています。   実習指導教員や、実習先での実習指導者にな不破るための条件はあるのでしょうか?   実習指導者に関しては、各施設の心理職の方馬場で、5年以上の実務経験のあることが条件となります。大学からこうした条件に当てはまる方にお願いして、実習指導者になっていただいています。 大学側の実習指導教員、つまり実習科目の担当教員となるためには「教育歴」、要は大学などの教育機関で3年以上の実習や演習科目の指導歴が必要となります。ですから、実務家教員といえども、実務経験があるだけでは大学教員になることは難しい現状があります。 心理学の分野で実務家教員を目指される方は、まずは施設での実習指導者になっていただくのが良いと思います。そこで学部生や院生の指導の経験を積み、その後で大学で実習に関係する科目を担当する非常勤講師になり、常勤の教員を目指す、という具合にステップアップしていく道があると思います。学生たちの発見をサポートできる教員に   臨床心理学分野の実務家教員に求められる資不破質や期待があれば教えてください。   実務家教員は自らの実務経験を伝えることで馬場後進を指導できるという強みがあります。私も精神科病院をはじめさまざまな職場で働いてきましたが、その臨床経験が、講義や学生の指導にも繋がっていると感じています。 一方で、臨床ができるだけでは教員にはなれません。やはり研究的な側面も必要です。自分が臨床現場で体験したことはどのような理論となっているのか、その理論はどう検証されてきているのか、つまり求められる「実習指導のできる教員」

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る