キャリア教育コーディネーター育成研修るわけです。 ただ、学校の先生方が持っている知識や価値観と、企業の方が持っている世界観が全く違う、ということは往々にしてあります。そこを繋ぐのがコーディネーターです。私は、社会課題を解決する人には「通訳」のような能力が必要になると考えていますが、キャリア教育コーディネーターは教育分野の「通訳者」であることが、その魅力であると思います。 また、先生方と打ち合わせをして、子どもたちに身につけてほしい能力や授業の目的、ゴールを共有できれば、そこに到達するための具体的なプログラムは、個々のコーディネーターの特性をいかしてユニークなプログラムを作ることができるというのも面白いところです。 ただ、当然のことながら教育は、子どもたちのこれからの人生に大きな影響を及ぼすものです。自分の興味関心や価値観を押し出すのではなく、子どもたちの学びや成長に対する責任を認識できる人でなければなりません。また、教育に対する熱心さは持ちつつも、授業の場を作っていくときには、子どもたち・先生・そして外部講師と一歩引いて全体を見て、準備から当日の運営まで進められる冷静さも必要です。 教員とコーディネーターでは役割が違う、と言いましたが、最近では反転授業やPBL(課題解決型学習)が重視されてきていますよね。こうした授業では先生自身も授業の「場づくり」という考え方を持つことも必要になってきているのではないかと考えています。 主に学校教育の現場をフィールドとしてきたアスクネットさんですが、最近では社会人向けの講座を始められたそうですね。社会人スクールを開講したきっかけや、その内容を教えてください。 社会人スクールを始めたきっかけの一つは、私自身がアスクネットに入った後に大学院に入学して学んだ経験が、今の仕事にも大いに役立っていることです。私が大学院に入ったのは30代後半でした。本当はもう少し早い段階、若い時期に学び始められたらなお良かったとも感じています。ただ、いざ学びたいと思っても社会人大学院は選考を通るのも難しく、企業で働いている方にとってはハードルが高いのではないかと思いました。 また、今の日本で大学院などに進学して学び直そうとする方は、職場ですぐに使える知識やスキルを得ようという方がほとんどです。私はその前に、「社会と自分」や「社会と仕事」の関係に目を向けた学びが必要だと考えました。自分の望む未来の社会とはどんなものか、そこでどんな自分でありたいか、ということを考える機会が必要ではないかと。その後で専門性を高めるためにMBAを取るなり、他の大学院に行くなり、ボランティアやプロボノとして活躍する、という基盤になるようなスクールです。 もう一つは、私が新卒で就職した頃は「仕事は上司の背中を見て覚えろ」という雰囲気がありましたが、今は新入社員には丁寧に教えて、メンタルケアもきちんとして、という企業が多いですよね。それは良い傾向なのですが、一方では新人が自ら探求する機会が少なくなっているという面もあると考えています。 そのため、アスクネットの社会人スクールは「自己理解」と「自己組織化」という二つのテーマを軸にしています。「自己理解」と「自己組織化」がテーマ
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