TEEP NEWS LETTER Vol.28
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株式会社ジョイワークス 代表取締役田口光彦には「自身の経験(インプット)を想起し、どんな意味があったかを考え(構造化・理論化)、言語化する(アウトプット)」しなければなりません。私たちは実務家教員の強みを「実務を通じて蓄積した知見に意味づけして学生に伝えられる力」と考えています。30項目の質問に答えることは、自身の実務家教員としての力を測り、不足している力に気づき、高めていくことにもなります。 TEEPでは経験の言語化と、それに対する支援者からのフィードバックを繰り返します。実務領域診断カルテは、専門コースを受講すると3回(基本コース開講前、基本コース修了時、専門コース修了時)30項目の質問に答え、その都度3名の支援者による分析を踏まえたフィードバックセッションを行います。並行してマルチサイクル・デザインの課題が課され、キャリア開発シートも開講中に2回提出します。実務領域診断カルテもキャリア開発シートもバージョンアップの履歴(学習歴)を残し、自身の変化と次に起こすアクションの「見える化」をはかっています。 実務家教員ロールモデル調査は、進化型実務家教員の養成課程において受講生が理想とする実務家教員像を具体的に描き、キャリア形成を行うための情報収集を目的として行っています。 2019年に行った調査では、多くの実務家教員は実務家時代にすでに大学教員とのネットワークを持っていたことが分かりました。ここから、具体的なキャリアモデルを持つことが実務家教員となる際に重要であるという仮説を立てました。 もう一つの仮説は、魅力ある実務家教員には「実務家時代に価値ある経験をしており、かつその経験を意味づけする能力が高い」という特徴がある、というものです。 そのため、今回の調査では実務家教員として活躍されている方にも実務領域診断カルテと同じ内容の質問項目に答えていただきました。ただし、今回はお忙しい実務家教員の皆さんの負担軽減のため、カルテでは30項目の質問を15項目に集約して調査を行いました。 カルテの分析方法について説明するため、質問と受講生の回答の例を紹介します。【質問】 仕事の関係者とのコミュニケーションで心掛けて実際に行っていることは何ですか。【回答】 営業担当の役割の1つは新たなニーズの掘り起こしと新商品の提案である。そのために社内の各部署(調達、設計、製造、品質管理等)との調整や合意形成をはかり、(根回しや雑談なども含む)場合によっては社長の合意を取り付けるための準備や調整も必要である。これが新製品開発の過程において大切にしていたことである。 この回答に対して「体験を理論化し、言語化できているか」を判定する基準をチェックリストにしています。【判定基準】❶仕事の関係者を尊重する具体的な行動が記述されている。❷仕事の関係者への時間への配慮が記載されている。❸信頼関係やウィンウィンの状態を実現するための具体的な行動が記載されている。❹こちらから積極的に働きかける行動が記述されている。 ❶〜❹のそれぞれについて十分に記載されていれば1点、不足があれば0.5点、記載がなければ0点とします。つまり4点満点です。これはフィギュアスケートの技術点を付けるような評価方法です。3名の判定者が個別に判定した後、判断結果をすり合わせて点を決めます。4点満点中、3点以上が取れているものを「有意義回答」と名づけました。 実務家教員ロールモデル調査の結果報告

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