TEEP NEWS LETTER Vol.27
3/4

飲料の販売促進方法を検討する学生(岐阜大学)協学センター」の特任助教として、インターンシップの授業を持ちつつ学生と地域の企業をつなぐ役割も担うこととなりました。NPOでやってきたインターンシップなどの実践に講義という形で理論を伝授する機会を組み合わせた挑戦ができる、それが大学で働く上で最も魅力に感じたところです。 私が担当する授業は3ステップの構成となっていました。第1ステップは「自己省察」という、キャリアを題材にファシリテーションや振り返りの仕方を学ぶ授業です。2つめが「地域産業と企業戦略」です。学生はこの二つの授業を受けた上でインターンシップに赴きます。この段階でのインターンシップは、私が事前に抽出した企業の課題の解決に学生が取り組むというものです。3日間のインターンシップで開発した商品が後に4,000万円ほどの売上になったと報告を受けたこともあります。その後、第3ステップとして今度は学生自身が課題の発見から解決まで行うPBL(Project Based Learning)を行います。この辺りになると、学生同士で話し合いしている内容の中身を指摘したり、講義をどう進めていくのかを学生たちが考えて、決めてもらうようになります。 インターンシップで企業の本業に貢献する成果を学生が出せたのは、先にお話ししたG-netでインターンの現場を知り、学生や企業の声を多く聞かせてもらったこと、コーディネーターがどんな働きをしているのかをよく見せてもらった経験が大きいです。学生を漫然と送り出すのではなく、企業にも学生にも成果を得られそうなプランを考えた上でインターンシップを企画するということを教えてもらいました。 私の役割としては人が成長して、サービスが進化して、地域にお金が落ちるという循環を、大学で「人」の面から作っていくことを目指しています。   起業してNPOでインターンシップをされていた時と、大学でインターンシップを行ってみて、違いを感じるのはどんなことでしょうか。 私の授業は学生に知識をあれこれと伝えるというよりは、基本的にはグループワークの結果を発表してもらい、それに対して私がフィードバックするという形で進めることを理想としています。私が教えなくとも、学生たちはグループワークやインターンの経験から、初めて直面する事態にも自分で考えて、相談しにきて、そして自分たちで決断して行動できるようになっていくんです。このプロセスはNPOでも大学でもほぼ変わりません。 ただ、岡崎ではインターンシップをやってみたいと思った学生が1人ずつで参加することがほとんどでしたが、大学では受講生が100人単位ということもあります。これまでの人生で何校かで講義する機会をいただきましたが、大学によってグループワークに慣れている学生もいれば、大講義室での授業が中心で、話し合いに尻込みする学生たちもいてさまざまです。気をつけないといけないのは、例えばかつての自分が行った事例を紹介したとして、同じ話一つとっても「実際の体験に基づくいきた事例だから面白い」と受け取ってくれる学生もいれば、「自慢なんか聞きたくない」と思われてしまうこともあり、学生の特性や興味・関心、意欲に合わせてスタイルを変えていく必要性を痛感します。つまり、実務家教員の皆様が企業人として大切にしてきた価値観や人材育成の方法に新たな工夫が求められる可能性もあるということだと思います。難しいことですが、私はこれも自己成長につながるチャレンジだと考えています。   大学の授業でインターンシップを行う際の困難の一つに、学生たちの学びや成長をどう評価するかという点があります。成績をつける時や、日常的な学生へのフィードバックにどんな工夫をされていますか。 PBLではルーブリック(評価の観点・規準と、評価の尺度を数段階に分けて文章で示した学習目標の達成度を判断するためのツール)を使われることも多いと思います。私は中でも「ICEルーブリック」を活用しています。ICEモデルというカナダのクイーンズ大学で産み出された学習評価の仕組みで、この考え方を取り入れたルーブリックになります。 私はインターンシップやPBLで学生を評価する観点として言語化を大切にしており、つまり「自らの経験をコツやノウハウとして他者に説明できるようになってい学生の特性に合わせて教育の方法を改善する

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る