TEEP NEWS LETTER Vol.26
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活躍できるよう現代社会と直結した実践的で意義のある教育をしていきたい」。それが、今でも私が実務家教員として教える一番のモチベーションになっています。 それから、「最終的には経営学やキャリアを教えられる大学教員になりたい。そのためにまずは、キャリアコンサルタントの資格を取得し、さらに多くの企業や業界の特徴と課題を把握し、改善できる能力を身につけるために、教員になる前に、経営コンサルタントになって実践力を蓄えよう」と考え、MBAが取れる大学院に進学し、その後、経営コンサルタントとして活動しました。   経営コンサルタントとしての経験を積んだのち、大学教員になられたのですね。 教員になるときも就職活動には苦労しました(笑)。MBAを取り、業界や企業規模問わず、多数の企業の改善・改革に携わったコンサルタントとしての実務経験に自信を持っていたのですが、博士号を持たず、企業での教育研修経験は膨大にあっても、大学での教育経験のない自分が教員として採用されることは難しいのだと、大学側として採用する立場となった際に理解しました。 実務家教員に注目が集まり始めた今も、こうした傾向は「何十校応募しても書類すら受からない・・」と嘆いている実務家の方が多いことからまだあると思っています。しかしながら博士号を持っている研究者の方でも、100校近く応募してやっと専任教員になれた、という方もいるので、同様にハードルは高いと感じています。これから実務家教員を目指す皆さんには、学会で論文を発表する経験を積んだり、大学関係者との交流の機会を持つことをお薦めしています。学部に所属する大学教員は論文指導が必要となるため研究能力が問われます。理論と実践の往還こそが、実務家教員に求められていることだと感じています。 また、非常勤講師や、任期付きの教員や「産学連携コーディネーター」のような学部所属でないポジションにも応募して、大学での教育歴を積み重ねることも実務家教員になるルートの一つとして考えるといいのではと思います。   大学側も、求める具体的な実務家教員像や待遇について明らかにしていく必要がありますね。TEEPとしても提言していきたい点ではあります。 同時に、実務家教員ならではの研究方法を提案し始めている学会もあります。こうした学会で学んだり、論文発表に挑戦したりと、大学との接点を持つことは大切なことですね。   髙濱先生は大学ではどんな授業をされていますか。 私は主に授業は「経営学」や「人的資源管理」、「キャリア系」、「インターンシップ」等を担当しています。2020年度のゼミでは、大学のある愛知県東海市内の4つの企業に「ダイバーシティ」や「働き方改革」の取り組みについて学生がインタビューし、パンフレットにまとめるという活動を行いました。 「働き方改革」や職場におけるダイバーシティの推進が叫ばれる中、コロナ禍であらゆる仕事の進め方が変わり、どのようなマネジメントをするべきか混乱している企業が少なくありません。学生がコロナ禍においてもダイバーシティ・マネジメントに積極的に取り組んでいる企業を調査し、パンフレットにすることで、さまざまな企業の参考にしてもらえたら、という狙いで始めました。 学生に対しては、このプロジェクトを通じて企業や社会との接点を持ってもらうこと、そして接点を持ち続けるために必要なルールやマナーを身に付けてもらうことも目的としていました。メールの書き方や調査の依頼方法など、社会人としてのコミュニケーションの基本的な能力ですね。 加えて、調査の企画や情報収集、インタビュー内容の分析、そしてパンフレット作りのための校正や印刷会社とのやりとりまで、全ての工程を学生に担当してもらいました。   初めてのことばかりで、つまづく学生も多いのでは。先生はそんな時、どうアドバイスをされていますか。 基本的には「学生たち自身で考える」ことを前提として当事者意識を醸成させた上で取り組んでもらっています。私が全部段取りをして、やり方を指導していては自分で考える能力が育成されず、プロジェクトを実現場と学生の感覚のギャップを埋める

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