TEEP NEWS LETTER Vol.23
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 また、災害時には欲しい情報が思うように得られないことが多々あります。医薬品の供給についての情報が無い場合の支援方法も学ぶ機会も作りたいと思います。 実際にはリサーチ・クエスチョンを立てるだけでも相当の時間が必要になりますから、今回の多職種連携PBL演習では私たち教員が用意したクエスチョンを元に進めていただきます。演習を通じて実験・研究のプロセスを習得していただき、受講生の皆さんが自分の専門領域でも同様にできるようになることを期待しています。   先生はPBL演習に先駆けて、今年9月にはモバイルファーマシーとドローンを使った医薬品などの輸送や情報共有システムの有用性を検証する公開実証実験を行っておられましたね。 はい、PBL演習はこの実験の再現性を検証していくことになると思います。再現性が無ければ現場でいかすことはできませんから。 ちなみにこの医薬品をドローンで運ぶ実験にあたっては、市の公園整備課や大阪航空局に許可を取ったりと、思いもよらなかった人たちとの連携が必要になりました。減災を考える上では薬学や医療以外との連携が欠かせないと実感しました。 また、災害時にドローンを使おうとしても現在の制度では規制が厳しく使いづらいという問題もあります。モバイルファーマシーの平時の活用にも制度の壁があります。先述した「社会薬学」ともつながる話ですが、私たちは目指す災害医療の姿を実現するためのルール整備についても検討し提案していく必要があるのです。「実務家教員」にはエビデンスを基に研究し、これまでにないものや、新しいルールを作っていく役割も期待されているのではないでしょうか。   最後に、林先生が目指す実務家教員像について教えてください。 研究と実務の両立は簡単ではありませんが、それでも実務家教員は決して現場を離れないことが大切だと考えています。例えば薬剤師だと、実務を離れている間に新しい薬のことが分からなくなってしまうということが起こり得ます。私は病院や薬局の薬剤師と連携し、絶えず患者さんが近くにいる状態に身を置いて研究・教育活動をしたいと思っています。 講義の際にもできるだけ実際の症例や自分の経験を話すようにしています。『症例集』のテキストもありますが、掲載されているものの多くは「うまくいった事例」なんですね。実務家教員だからこそ伝えられる、過去の自分のミスや失敗も織り交ぜることで、学生の受け止め方も全く違うことを実感しています。 さまざまな職業、経験を持ったTEEP受講生との交流から私も多くを学びたいと思います。薬学を専門としていなくても、それぞれの職種の方が専門性をいかして災害時にどんな活動ができるかを考え、発表していただけることを楽しみにしています。発行者 TEEPコンソーシアム実施委員会  事務局 名古屋市立大学教務企画室内 〒467-8501 名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1発行日 2022年1月1日  連絡先 E-mail : teep_oce@sec.nagoya-cu.ac.jp進化型実務家教員養成プログラムvol.News Letter23中核校:名古屋市立大学連携校:岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学 2022年1月に「2022年度基本コース受講生」を募集いたします。具体的な募集方法については、Webサイトにてご案内させていただきます。https://teep-consortium.jp/ドローンの実証実験

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