TEEP NEWS LETTER Vol.23
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   林先生のこれまでのキャリアと、専門分野の中に挙げられている「社会薬学」そして「災害薬学」についてお聞かせいただけますか。 私は大学院の博士前期課程を終えた後、薬剤師として6年ほど大学病院に勤務しました。その後、薬学部の薬剤師養成の修業年限が4年から6年に延長されたタイミングで静岡県立大学に講師として赴任しました。病院薬剤師の経験もいかした臨床薬理学と薬物動態学、そして社会薬学と災害薬学を専門としています。 「社会薬学」とは聞き慣れないかもしれませんが、歴史のある学問分野です。医学や薬学といった分野は、病気の治療や薬物という物質自体の要素や働きを研究するだけにとどまらず、法学、倫理学、社会学、経済学などとも大きく関わっています。例えば「お薬手帳」を持参すると、持参しなかった時に比べて医療費が安くなる、という制度改正があったことは記憶に新しいですよね。このように、狭義の「薬学」の分野にとどまらず、学際的な視点を持って医薬品の開発やその提供方法を研究していくものです。 対して、「災害薬学」は比較的新しい学問分野です。「災害医療」は1995年の阪神・淡路大震災を機に発展しました。私は静岡県立大学にいた時に東日本大震災を経験したのですが、その際に薬剤師の活動が大きな注目を集めました。災害薬学はここ10年ほどで急激に研究が進んだ分野といえると思います。(聞き手:名古屋市立大学大学院経済学研究科教授/TEEP実施委員長 鵜飼宏成) TEEP専門コースは、2021年度後期から始まった「経営・実務コース」「心理カウンセリングコース」「スポーツ実務コース」と2022年度前期にスタートする「減災・医療コース」の4つのコースからなります。今回のニューズレターでは、「減災・医療コース」の多職種連携PBL演習を担当され、ご自身も「実務家教員」として活躍されている岐阜薬科大学の林秀樹教授にお話をうかがいました。医薬品の供給を学際的な視点から考える実践と研究両立と多職種連携が新たな減災の仕組みをつくるーTEEP専門コース「減災・医療コース」担当の実務家教員に聞く ー林 秀樹岐阜薬科大学地域医療実践薬学研究室 教授文部科学省「持続的な産学共同人材育成システム構築事業」進化型実務家教員養成プログラムvol.News Letter中核校:名古屋市立大学連携校:岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学23

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