ェクトで体験させる中身を設計し、学習パフォーマンスを開発する必要があります。③ 科学的実践 アクティブ・ラーニングにおいては学生が何らかの提案を行うことが多いでしょう。問題を解決するためには今回の提案が必要だ、と論理的に説明できなければなりませんが、学生はひとりよがりな理由づけをすることも多いものです。 教員は、提案をするためには、事実・データとそれをどのように解釈したのかを示す論拠が必要であることを伝え、そうした科学的実践に学生が到達できるように「踏み台」を用意する必要があります。 例えば「ルーブリック」と呼ばれるツールです。学習内容を、その道のプロらしい複数の視点を設定してそれぞれ数段階に切り分け、各段階で具体的に何を習得すべきかを示したものです。学生たちはこれに基づき、自ら行動を改善・修正していくことができます。④ 協調 今の学生たちは、人を傷つけないように会話することがコミュニケーション能力だと思っているふしがあります。それだけでは問題解決はできません。ですから、アイデアカードを作成し交換して議論するといった工夫が必要です。『協同学習の技法』といった書籍やそれに関連する論文はいろいろあります。ぜひ取り入れて参考になさってください。⑤ 学習テクノロジー 学生の問題解決の方法には個性があります。その個性を十二分に発揮させるためのツールを用意します。学生の自律的な学習をサポートし、より有意味な学習に導くためのツールや方法を選択することが大切です。リモートで資料を共有したり、チャットや会議ができるアプリはたくさんあります。⑥ アーティファクト アーティファクト(artifact)は「人の手で作った遺物や文化遺産」という意味です。PBLでの学習の成果を形にしたものに敬意を込めて「アーティファクト」と呼びます。学生たちはアクティブ・ラーニングの取り組みの過程でも大きく成長するのはもちろん、出来上がったアプリ設計図、論文といったアーティファクト自体に学生の学びを深め、学習意欲も高める効果があります。 最後に、アクティブ・ラーニングの評価全般について補足しておきます。 成績評価は学生にとって公平でないといけません。しかし、アクティブ・ラーニングの多様な取組の中で、どれを・どのように評価するかという評価課題や基準は必ずしも明確ではありません。また、グループで目立つ活動をする学生は教員の目に留まりやすく、目立たない役割の学生は見えにくいという問題もあります。授業時間外での活動は、その多くが教員には把握しにくい面もあります。 こうしたことも加味して、成績評価をどう行うかを考える必要があります。私としては、やはりプロダクトとプロセスの両方を評価することをお勧めします。具体的には、活動のアーティファクトをメンバー共通のグループ評価点とし、プロジェクトに対する個人的貢献度を評価して加点(/減点)します。時間外活動は、オンラインのコラボレーションアプリを使ってもらい、プロセス評価ではその学習ログを活用します。こうした成績評価方法については、事前に学生に示しておくことが必要です。 なお、学生自身が評価の主体となる機会を与えることにも意義があります。たとえば、成績評価には用いないものの、個人的貢献度の360°評価を中間段階で行い各メンバーにフィードバックすれば、グループ全体で改善に取り組むことができます。また、各個人が自ら軌道修正できると、それが成長する機会になります。アクティブ・ラーニングの評価とは発行者 TEEPコンソーシアム実施委員会 事務局 名古屋市立大学教務企画室内 〒467-8501 名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1発行日 2021年11月1日 連絡先 E-mail : teep_oce@sec.nagoya-cu.ac.jp進化型実務家教員養成プログラムvol.News Letter21中核校:名古屋市立大学連携校:岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学 11月18日(木)に「第2回TEEPシンポジウム」を開催いたします。具体的な開催方法については、Webサイトにてご案内させていただきます。https://teep-consortium.jp/
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