のですが、全然治りません。心理的ストレスとしか考えられず、私がその子を見てあげると、すぐに手が挙がるようになったんです。後で本人に聞くと、「理学療法は痛かったし、つらかっただけ。でも吉川先生は『そうそう』と言ってくれるだけだったのがよかった」というんです。 もう一人、腰の痛みで何をやっても立てず、診断結果が不詳とされた子がいました。経過観察を5年しても治りませんでした。その子にも私が週4日、1日40分、一対一で治療を始めたら、数日で立てるようになり、1年間で腰の疼痛もほぼなくなりました。 当時、私は素人同然でしたから、この2つのケースに対する評価はひどいものでした。「認めない」「インチキだ」とか、某心理学会で発表したら「治っていない」ともいわれました。でも、彼は治る力を持っていました。どうファシリテートするかだったんです。 その後も活動を継続されたんですね。 私のアプローチに関心を抱いたドクターが、さまざまなケースの患者を送ってきました。脱毛の子や皮膚アレルギーを持った人がいたのですが、みんなよくなっていきました。これらを通して私は、こうした症状は、体の機能的なものでだけではなく、心理的なものだと気づいたんです。多くの患者に対する治療的経験から、現場で工夫して多くの技法を発見しました。それを「ストレスリダクション法」として確立しました。 現代の社会生活において、ストレスそのものを消し去ることは不可能です。しかし、受けるストレスを軽減(リダクション)することは可能だと考えたのです。 日々のストレスは心や精神を圧迫します。それが身体の緊張(慢性化)となり、体調の異変や心の病を発症させます。こうした分析を基に、身体の「緊張」を自らの力で「抜く」という手法が「心」の問題解決につながるのでは…と研究を進めました。 一見、体操やヨガをやっているように見えますが、固くなっている身体の部位をマッサージするわけではありません。無意識の中の意識を引き出し、副交感神経を増幅させ、緊張をほぐしていく方法なのです。 一般企業でも指導されていますね。 ある電力会社の支店で、カウンセラーとして社員のメンタルヘルスを目的に勤務したことがあります。営業所に出向き、営業時間内の2時間の研修で動作法を応用したストレスリダクションを実施したら、大変好評でした。 これがきっかけで県全域の営業所からオファーがあり、もっと受けたいというリピーターも多く、2002年から1年半の期間で、従業員の60%に対して実施しました。 組織内でのストレスは、みんなのストレスになるのです。集団内の人間関係の向上化や、ストレス障害の予防になるなどの評価や効果がありました。ストレス障害のある人を特別扱いしないようにも呼び掛けました。 福島県のいわき明星大学では、2004年ごろから月1回、一般市民を対象とした集いの場を5年間実施。多くの人から「家庭の問題が消えた」といった反応があり、企業からの研修依頼が来るようになって、1年間で延べ約4000人が体験しました。以後、北海道から広島まで、日本各地で実践しています。現在は一般社団法人「ウェルライフ推進協会」を設立し、「ストレスリダクションコーディネーター」という資格も作って活動しています。現場で得た多くの技法を「ストレスリダクション法」として確立28年間の治療的経験から「ストレスリダクション法」を確立した最初の職場・第二青い鳥学園とう つう吉川鵜飼吉川鵜飼
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