TEEP NEWS LETTER Vol.17
3/4

図4いう財界人の視点、Cは「受験に役に立たない」という主権者教育を進める学校の生徒の立場です。お分かりの通りA、B、Cはそれぞれバラバラに追求され、矛盾する面もあります。 このため、大きな社会的背景から大学に改革要請が来たとしても、それぞれの大学や個人の立ち位置によってリアクションも変わってくるということをイメージしなければならないのです。 日本の大学の質保証政策は、シラバスやカリキュラムなどに関わる外形的な教育の再編成、ガバナンス態勢の経営に関わるアカウンタビリティ要求への応答、そして学生のニーズ・学生による評価・就職の道具化として進められてきました。2020年には中央教育審議会大学分科会で「教学マネジメント指針」が示され、学修者本位の教育への転換が求められています。 日本の大学評価の種類は、①専門団体によるアクレディテーション(「相互評価」ならびに「会員資格審査」)、②行政機関による設置認可審査、③大学のティーチング・スタッフやマネジメント・スタッフによる「自己評価」、④外部の評価者による「外部評価」、⑤国立の機関による「第三者評価」、⑥財源配分を伴う「プロジェクト評価」があります。これは歴史的な登場順ですが、もともとの原型であるアクレディテーションは、高等教育の中身に着目した伝統的な質保証の仕組みで、大学評価と質保証は一体でした。しかし、戦後のGHQ引き揚げとともに文部省が復権し、主体と目的がバラバラになっていきます。それに伴い、もともと一体だった大学評価と質保証が、次第に乖離してしまいました。つまり、大学評価がその仕組みや方法だけを残して独り歩きをし出したのです。乖離した後の大学評価は、内部評価と外部評価の中でさまざまな矛盾や軋轢が深刻化しています。 大学組織をめぐる力学も複雑化しており、中央権力から多様な改革案のアイデアを出されると、大学という機関は、評価を通して個々の現場をコントロールしようとします。そこでは、職員・学生の独自の位置付けがこれからの大学の管理運営の重要なポイントになります。 一方、個々の教員は外部のアカデミック・コミュニティと強い関係を築いています。アカデミック・コミュニティは教員に単なる組織人とは異なる規範を提供し、教育研究の中身を実質的に左右します。そのため、トップダウンだけでは大学は動かず、ボトムアップだけでは大局からの的確な判断は難しいので、大学の管理運営はうまくいかないという課題が指摘されているのです。 大学組織モデルは学生の地位を見習い大学生とする「同僚性」、統計値とみなす「官僚性」、資源の単位とみなす「法人性」、そして顧客とみる「企業性」に分けられます。図4のように、これからは実行の統制がゆるやかで政策の定義が厳しい「企業性」を強化すべきですが、学生は機関レベルでは顧客であっても、教育レベルにおいて顧客ではないことを頭においておくべきです。 大学は政治(公共的課題)、経済(企業労働)、文化(生活)の面でそれぞれに社会的機能を求められています。多元的に権力が分割された中で、多様な活動を通して複数の目的や目標が追求されている組織として大学を見ていくべきでしょう。 日本の18歳人口は2030年に104万人、2040年に88万人と急減します。確実に、絶対的にマーケットの縮小する大学という業界に、実務家教員の皆さんは入ろうとしています。逆に「だから面白い」と思っていただけたらいいと思います。 政策の動向としても「大学淘汰プログラム」というべきスキームが出てきます。自分の行かれる大学がどのような大学なのかも見ていく必要があります。 図5の「2030年を見据えた私立大学のセグメント別競争戦略の考え方」を見ると、小規模な大学では「質保証」「評価」「経営」の時代未来予測とニューノーマルの時代裏面へ続く

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る