TEEP NEWS LETTER Vol.15
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授業パートナーの企業と授業の下打ち合わせ   大学が産業界に比べて遅れを取っている面は確かにあるでしょうが、逆もあるように思えます。最近のデザイン業界を見ていると、大学の先行研究や先行開発が産業界を引っ張っている面もあります。利益を求めなくても、研究自体が目的化できる強みが大学にはあるのではないでしょうか。 段差を無理に埋めなきゃいけないのか、という問題もあるかと思います。違いは違いとしてあって、その間を行ったり来たりできる人や、二股をかけてもいい人が実務家教員には向いているのかもしれません。   それが冨安先生ということですね。   無理やり10年かけてそうなりました(笑)。   実務家は大学の専任になる人もいれば、企業と大学を往来する人もいます。そうした中で、教育プログラムとして人を育てていくために、実務家教員はどういう現場を作っていけばいいでしょうか。   私は専任ですが、自分がもともとやっていた個人事務所はたたまず、デザイナーとしての屋号は維持しています。教員になった時にお伺いを立てたら、「外部の仕事を教育に生かしてください」と言われました。デザインの場合は実業の比率が大きい教員も多いですね。 ただ、私たちの世代からすると、大学の先生になったら「上がり」や「終わり」という感覚がありました。教える側に立つということは、実務や現場から離れることだという捉え方です。今の若い人たちはもう少し柔軟かもしれませんが。   実務家も専任で来る人と、スポット的に非常勤で来る人とでは当然、役割が違います。今回のTEEPでは、常勤の実務家教員たちが、大学でどんな文化や学ばせ方を構築していくかをはっきりさせたいとも思っています。   デザインは医学に似ています。医学に基本理論はありますが、それを治療に当てはめるときは、目の前の人に応じていくつもの理論を統合しているはずです。デザインも患者をメスで切るような、似たところがありますが、社会に適用するときは必ず臨床的な部分があり、それは机の上で教えるだけでは限界があると思います。実務は実務からしか学べないというか。   臨床というのは、個別具体的に解決していくこと。とことん解決策まで実現していく意思と工夫、臨機応変に、瞬時に物事を組み立てていく応用がクライアントの問題を解決していくためには重要ですよね。求められる問題を発見できる人材鵜飼鵜飼鵜飼鵜飼学生を交えた行政のプロジェクト。デザインするツールを確認中冨安冨安冨安冨安

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