TEEP NEWS LETTER Vol.13
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医療にも広がっていきました。卒業生の一人は福祉系のベンチャー企業で働いていますが、空き家対策やコールセンターの新規事業のプランニングなどの場で「これはバーチャルカンパニーでやったことと同じだ」と感じたそうです。  また、大学は学生に知識を伝える以外に、社会的な使命として、社会貢献や地域連携、産学連携を進める時代になっています。前任校では2013年に私が中心メンバーの一人として「地域連携センター」を設立。大学関係者も社会の一員として自発的に地域課題や社会課題を考え、解決に向けたプロジェクトを立ち上げ続けました。 そのために適切な人材を採用。併せて解決の現場が学生の学びの場になるように、全学部の学生が履修できる講義を科目として用意しました。そこで求められるスキルは、長期的な視野に立った企画提案力や事業構想力、コーディネート力、ファシリテーション力、反対意見に打ち勝つ強い意志です。前任校でのこうした経験が、本校での取り組みやTEEPの立ち上げにつながっています。 今では良い思い出ですが、かつて学術基盤教員の一人と激論を交わしたことがあります。その先生は、「自身が貢献するのは研究や学会だ」と断言した一方、私は「社会と学生の成長を実現すること」と。この間には言葉以上の格差があり、マインドセットが行動の違いにつながります。この違いは、まるで別の島で活動しているほどの隔たりに感じられます。しかし、その島の間に誰かが橋を架けて、結んでいかなければなりません。 教育の場は、学生、内外の支援者による関係性のウェブといえます。点と点を行きかう情報が、その場にいる人の思いと一体化している場合は、教えなくても自律的に人は育ちます。逆に、その人が一体化できないような問題を抱えている場合は、情報がうまく流れません。主体的に、探究的にやらせてみて、失敗から学ばせる教育アプローチ。私が目指している「教えない教育」です。現実世界との距離を目測でき、問題を取り除くヒントを与え、見守り、応援し続けることが、大学における実務家教員の存在意義であると考えています。 TEEP実施委員会では、コンソーシアムの様々な情報発信についても積極的に行っています。詳しくは随時以下のWebサイトにて案内してまいりますので、ぜひご覧ください。4月より進化型実務家教員養成プログラム「基本コース」が始まります。5月には「専門コース」の説明・相談会を計画しています。 (株)住信基礎研究所(現・三井住友トラスト基礎研究所)で複数の調査プロジェクトに関わり10年後、2000年に愛知学院大学に転職。同大学経営学部教授、地域連携センター所長を歴任。2019年4月より名古屋市立大学大学院経済学研究科教授。専門は、アントレプレナーシップ教育(起業家教育)の研究と実践、起業家論、ベンチャービジネス論。特定非営利活動法人起業支援ネット理事。一般財団法人中部圏地域創造ファンド理事。プロフィール鵜飼宏成氏う かい ひろなり重視するべきは社会と学生の成長「のこり染めPETポンチョ」をメッセナゴヤの企業ブースで展示発行者 TEEPコンソーシアム実施委員会  事務局 名古屋市立大学教務企画室内 〒467-8501 名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1発行日 2021年3月1日  連絡先 E-mail : teep_oce@sec.nagoya-cu.ac.jp進化型実務家教員養成プログラム13vol.News LetterTEEP実施委員会事務局(名古屋市立大学 教務企画室内)https://teep-consortium.jp/中核校:名古屋市立大学連携校:岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学

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