NGO委託で公衆衛生専門家として災害被災地の衛生状態を視察(木下)公衆衛生専門家としてミャンマーにも派遣(木下) ご自身の経験のなかでの気付きと学びが相まって、まるで導かれるように起業への道が開けていかれたのですね。ちなみに社名の「スノーム(SNOM)」にはどのような意味がありますか。 「Safety Net Of Mind(セーフティネット・オブ・マインド)」の頭文字です。事業計画書を作っているときに先生が「セーフティネット」と黒板に書かれました。これは社名に入れろということだなと直感し、取り入れました。結果的にすごく気に入った社名になりました。 看護人材の育成という側面から、木下先生の大学教育に対する思いや工夫はいかがでしょう。 私は自分が大学を卒業して以来、アカデミックな場での看護に疑問を持っていました。看護は実学や応用です。理論などを発達させて何になるんだろう、といった思いがずっとありました。 ただ、私自身国際協力やコーディネーターナースなどの経験を十分に生かして患者さんと接してきたものの、周囲からの評価に虚しさも感じていました。そこに大学の仕事の話があり、ようやくチャンスが巡ってきたと思いました。 大学では、学生が授業に主体的に参加できるように以下のような工夫をしています。 ①社会状況に即した話題を取り上げる ②国際協力で使う参加型ワークショップの手法を用いる ③自由な意見交換を行うため、グループ間ローテーションによるディスカッションも取り入れる ④プレゼンやレポートで述べるべき項目や配分をあらかじめ明確に示し、課題の学習に集中できるようにする ⑤毎回授業の改善について意見を聞き、対応する ⑥遠隔授業ではなるべく会議システムを用いたリアルタイム授業を行い、授業の合間に少人数グループのトーク時間を設け遠隔授業ならではの楽しみを持ってもらう。 災害看護学も先生の担当される領域ですね。 高知県は、南海トラフ地震で甚大な被害が想定されています。昨今、水害を含めて各地で大きな災害が続いていますが、日本の災害被災地での生活環境は驚くほど低いレベルです。 イタリアなどを見ると、災害があれば当然のように快適な環境が提供されます。しかし、なぜか日本では「体育館で雑魚寝」のスタイルが変わっていません。災害だから、非日常だから文句を言ってはいけないという諦めや、「忍耐の美徳」みたいなものが根強いのでしょう。長引くストレスフルな避難生活は、体調を崩し災害関連死を招くことになりかねません。それに対して、看護の分野からきちんとエビデンスをもって発言できていないことに危機感を持っています。 私も災害看護に少なからず携わっていますので、看護師が現場で発信できる社会になれば本当にいいなと思っています。一方、現場から一歩引いた立場になって見ると、看護師は「おカネ」のことを考えるのにものすごく抵抗を感じる人が多いといえそうです。自分たちがしている医療・看護サービスにいくらかかっているのか、予算をどこから取ってくるかについては考えたこともない人が大半だと思います。でも、物事を動かすには「おカネ」がいります。そこをうまく回すと、患者や被災者のクオリティー・オブ・白石白石木下木下小木曽小木曽小木曽被災地の問題に看護からも声を「おカネ」まで考えられるように[木下][白石]
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