TEEP NEWS LETTER Vol.11
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のギャップがあって当然でした。しかし、これからは能力を見ながら評価、採用していく方向に移らざるを得ません。最近は企業内でも人材戦略と経営戦略をどう連動させるかという議論が始まっており、そのギャップをどう埋めるかは大学側にも企業側にも大きな課題です。   実務というのは「成果の創出」だと思っています。ただ、若いうちは、インプットしてもすぐにアウトプットができるわけではない。一方で、今は検索すれば情報があふれているので、考えずに調べるだけの人が多い気がします。ただ、実際は答えがない時代。ネット上にない、答えらしきもの、最適解にたどり着く力をいかに身に付けるかが学校教育で見直されるべきポイントであり、実務家教員に期待される部分だと感じています。   大事なのは物事の本質、社会的な課題を見抜く力。実業界でも本質を語れない人は仕事が取れません。それは研究でも同じで、研究の本質を突くところでもありますが、アカデミックの世界では先行研究を踏まえてプランニングをした上で実験をしてみるといった手順があります。それに対して実務家教員はとりあえずやってみようと、主体性を持って自ら働きかけ、世に問うというところでは先行した形になるのかなと思います。   時代の変化に応じた新たな連携としては、どのようにして教育の形を柔軟に変え、そこに実務経験をはめ込んでいくかが大切になってきます。その辺りについての示唆をお伺いできればと思います。   実務家教員が大学と産業界の橋渡しをしていく上では、大学側だけではなく企業側の目的をいかに引き出していくのかが重要な役割ではないでしょうか。互いにWin-Winの関係になるような働きかけをする、まさに働きかけ力が期待されるのではと感じました。   私たちは産学連携窓口として、取引先の中小企業を大学に紹介もしていますが、どうしても大学はまだまだ敷居が低くないところがあります。そこを実務家教員が大学はもっと身近なところだよと企業に働きかけてくれるといい役割になるのかなと。銀行もまだ力がないものですから、協力してやっていけたらいいと思います。   実務経験だけ持っていれば企業と大学の架け橋になるかというと、そうではないでしょう。一仕事終える、一皮むけるという経験は企業でも重要視されますが、自分の中で経験として残る、まさに学びです。それを教育能力として実務家教員が学生に教えられたら、非常に強いと思います。また、大学に出ていった後も大学と企業が連携してお互いを高め合っていく。養成プログラムにはそうした役割を期待したいです。   アカデミックの分野では、今まで実務でこなしていた経験が過去のものになるので、それをいかにアップデートしていくかは非常に大事です。自分自身も授業にゲストスピーカーを呼んだり、共同研究をしたりして知識のアップデートやインプットを意識するようにしています。今日のテーマも「挑戦」という言葉が付いています。いろいろな壁があるでしょうが、私も微力ながら協力させていただきます。▶閉会挨拶/伊藤恭彦(名古屋市立大学 理事・副学長 大学院人間文化研究科 教授) 本日の議論を通じてTEEPの重要性と大学の将来像が見えてきたと同時に、私たちのミッションの重さも自覚できました。本学の英知を結集し、未来を担っていく若者たちを育てていくために良いプログラムをつくり、大学教育を変えていきたいと考えます。そのためのご支援とご協力を引き続きお願いしたいと思います。本日はありがとうございました。 登壇・参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。シンポジウム終了後のアンケートにおいても参加者より、非常に高い満足度が示されました。本シンポジウムでの基調講演部分については、以下のWeb サイトにて動画の視聴ができます。 2021年度の基本コース受講生募集も1月7日(木)~20日(水)で行います。詳細はWebサイトにて。小林三輪鈴木奥村北見三輪北見「大学の敷居」下げて「一皮むける経験」学びに発行者 TEEPコンソーシアム実施委員会  事務局 名古屋市立大学教務企画室内 〒467-8501 名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1発行日 2021年1月1日  連絡先 E-mail : teep_oce@sec.nagoya-cu.ac.jp進化型実務家教員養成プログラム11vol.News LetterTEEP実施委員会事務局(名古屋市立大学 教務企画室内)https://teep-consortium.jp/中核校:名古屋市立大学連携校:岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学

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