TEEP NEWS LETTER Vol.11
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裏面へ続くてお伝えします。企業の採用担当者が期待する社会人基礎力には、「アクション」や「チームワーク」があります。「アクション」では「主体性」「実行力」が、「チームワーク」では「規律性」「傾聴力」「柔軟性」「状況把握力」「発信力」などが、期待されています。重要度と満足度のギャップから見える潜在的な段差に関しては、「アクション」の「働きかけ力」、そして「シンキング」全般(課題発見力・創造力・計画力)であると分かりました。 以上の内容や自由記述のコメントなど、高等教育機関には産業、組織の多様な変化に機微に対応できる、組織人として主体的に活躍できる人材育成が期待されています。 一方で、先ほど奥村氏の指摘された組織と社員の同時成長という視点も重要です。組織人としての活躍だけでなく、依存せずに活躍できる個人のキャリア形成といった観点も含めた、軸を持つ自律型人材の育成などが実務家教員に期待されているのではないでしょうか。また、産業界のリアルを体感しているところも実務家教員の強みです。教育機関にそれをしっかりと伝えていく、伝道役も担っていると考えられます。<登壇者> 鈴木武裕氏(株式会社愛知銀行 執行役員 法人営業部長) 愛知銀行は1910年9月に創業し、今年で110周年を迎えます。私は2007年以降10年間、4カ店の支店長を務め、17年に本部の営業統括部に、2018年10月に法人営業部を立ち上げるとともに部長に就任して、現在に至っています。その間に、外部環境の変化で銀行のビジネスモデルや求められる人材像は大きく変化しました。 銀行員に求められるスキルも、対人スキルの他、財務分析や資産運用のスキルがありましたが、現在ではそれに加えて海外ビジネスやM&A、事業承継、税務相談などが必要となっています。高度な金融手法を活用するためにファイナンススキル、企業の課題解決を行うためには課題解決スキルという、より深い専門的な知識も必要です。 今後はさらに、フィンテックといわれる金融のスキル、新しく銀行に求められる人材紹介、地域商社、ファンドの運営などがあります。また、地域と共存し、企業価値を向上させるためには地域・社会に貢献するスキル、「ハイブリッド型」の人間が求められます。 こうした中で実務家教員に関しては、従来の銀行の枠を外れた新しいコンサル業務やフィンテックに代表される理系人材などを教育の場で深く教え、社会に送り出してほしいと思います。<登壇者> 北見幸一氏(東京都市大学 都市生活学部/大学院環境情報学研究科 准教授) 大学を出てから10年ほど電通パブリックリレーションズでPR 業務をしていましたが、経営を学びたいと思って社会人大学院に通い、縁があって北海道大学の教員になりました。その後5年ほどして再び元の会社に戻ったものの、また縁があり2017年からは現在の大学でマーケティングやブランド戦略、広報・PR 戦略などを教えています。 実業界からアカデミックに行かれる人は多いかと思いますが、アカデミックから実務に戻る人はあまりいないようです。私はそうした経験から、実務の経験は非常に武器になると実感しています。自分しか持っていない経験を基に、アカデミックの研究もやっていかなければなりません。その2つの力があると、学生も聞く耳を持ち、相乗効果が生まれると思っています。   では、ここからパネルディスカッションを始めます。まずは高等教育機関が送り出す人材と産業界が求める人材のギャップ、段差をどのように感じておられるか。人材育成の観点から、エピソードなども交えながらお伝えいただければ。   大学は第一に知識を身につける場ですが、サービス業としては、お客さまとの会話の中から重要な価値を見いだす、情報を読み解く力が必要です。現場では、いろいろなデータや決算書類を見ながら、まだ顕在化されていない問題点や課題をあぶり出し提案などもしています。そうした実践的な課題解決、主体性やチームワークなども教えてもらえればと思います。   これまでの企業の人材育成は、入社してから教え込めばいいというのが基本的な発想で、大学側と小林鈴木「答えなき時代に答え」を 「本質見抜く力」を奥村

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