TEEP NEWS LETTER Vol.09
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学生がホテルの課題解決プランをプレゼンテーション学生たちとホテルを訪問    具体的には、学生にそれぞれどのように伝えていらっしゃいますか?   「コミュニケーション能力」は、社会人としての基礎的なスキルですが、観光業では英語を含めた語学能力はもちろん、顧客の微妙な表情から要望を読み取るといった言語以外の面でも求められます。 「情報収集能力」は、例えばレストランで顧客から掛けられる何気ない会話などにも必要です。常に最新の情報を知っておかなければ、いろいろな質問にも対応できません。実際に足を運んで得る情報や関係づくりも大切です。 最後の「ゲストの喜びを自らの喜びとして捉えられる心」については、本当に私自身がその大切さを実感したことです。ホテル業では顧客からお金を頂いているにも関わらず、「ありがとう」と言われることが多く、素直に感激します。星野リゾートの星野佳路社長も述べておられますが、この業界に入るのは「お客さまの喜びを自分の喜びに感じられる人」。そんな心構えを持ち続けるようにと、観光業、特にホテル業を目指す学生に伝えています。    社会人としてホテリエの第一歩を踏み出された当初の、印象的なエピソードをお聞かせ願えますか?   ホテルに就職して最初に配属された職場の指導役の先輩は2歳年下でした。ホテルでは大卒よりも、高卒や専門学校卒の従業員が多かったのです。彼女は高卒で入社して、当時3年目。もちろん私は彼女に対して、敬意を払って素直に教えを受けていたつもりでした。ところが1カ月ほど経った頃、私は突然部門長に呼び出され、叱責されました。指導役の先輩が、私の態度が悪いと伝えたのです。私はすぐに先輩に謝り、事情を聞いたところ、先輩が指導する際、私はすぐに先回りして彼女の言葉を遮って、「こういうことですね」と勝手に納得して進めてしまう、ということに「ないがしろにされている」と感じていると言われました。その職場は圧倒的に女性が多かったのですが、それからしばらくはどの先輩にも冷たく当たられ、針のむしろ状態でした。(笑) その後はひたすら誠意をもって行動し、何とか先輩方にも受け入れていただけましたが、このような経験を通して、会社組織で生きる術を学んでいきました。このように実社会の中でもまれた経験も、実務家教員として学生に伝えなければならないと思っています。   そうした業界から、なぜ大学に転職されたのでしょうか?   私は、まず国内のホテルチェーンで働き始めました。4年ほどサービスの現場にいたのですが、やがて人事や社員教育担当に。その頃、チェーン全体の経営が行き詰まり、本社の「経営再建計画チーム」に呼ばれました。そこで5年間、経営戦略部門に携わることになり、仕事としての充実感は得られましたが、ホテリエとしてのキャリアは本来目指していたものと違っていました。 ちょうどその頃、日本にも外資系のホテルチェーンが進出し始め、その一つに転職を決めました。ただし私は当時、英語があまり得意ではなかったので、前職で身に付けていた簿記や経理の他、趣味でやっキャリアを見つめ直し教育の道へ小木曽小木曽鵜飼吉田吉田吉田

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