藤井 勉 助教「サステナまち計画2019」 課題解決提案発表の様子 「高齢化」という広いテーマの中には、健康の問題もあれば独居の問題もあります。であれば、学生も自分の家族の問題などとして想像しやすい。何より北区でやることなので、抱えている問題を区役所から提示してもらえるのが一番重要だと思いました。 こうして2019年8月8日と24日、2日間にわたって若者と地元企業が中心となり、地域の高齢化について議論し、課題解決について発表するプログラムが実践されたのですね。中学生グループからは「高齢者に優しい靴下の提案」が、高校生グループからは「高齢者に優しいメニューシートの提案」が、大学生グループからは「お泊り避難訓練の提案」などがあり、アイデアも充実していたように感じます。 最初は賞をつけようと思っていましたが、優劣がつけられないことに気づきました。そこで発表会の聴衆者から「フィードバックコメント」を募ることにしました。結果、多くの肯定的な意見が集まりました。若者たちも、自分たちの考えていたことは間違っていないと手応えを感じてくれたようです。 さまざまなアイデアが出てくる中で「自分たちがやりたいことはこうだったんだ」と磨かれていく感じが面白かった。余白の大事さを感じました。 普段、関わらないような多様な人がいて、一つのセクターでは考えられないアイデアや価値観がどんどん生み出され、ワクワクする感覚がありました。 実行委員会方式を選択されました。既存組織や地域のキーパーソンに気をつかうあまり、発言しづらく動きの鈍い組織となってしまうことは往々にしてあります。固定的ではなくレジリエントな組織体制を選択したなかで、フラットな関係性が生まれ相互作用が起こり、まさに「深化」する方向にも向かったのではないかと感じました。マルチステークホルダーであったからでもありますが、事業目的やプログラムの変化をも受け入れる上では、良さもあれば難しさもあったのではないですか。 チラシづくりで主催者をどうするかという時に、結果的に集まった人たちで実行委員会にしようと話が発展したのですが、おのおのが主催者という立場になれるのはメリットとして大きかったと思います。とはいえ、誰かが引っ張る役割を担わなければならず、必ず中心的な人がいないと動かない。変化の中で柔軟に対応できたのは、主従の関係でなく対等な実行委員会形式で中心的な人がいたからこそと思います。 横並びで対等にやっていくのが「協働」では当たり前に大事なことですが、特に重要なのは最初の約束の仕方です。「結果的に対等」ではなく、「最初から対等」を約束する「マルチステークホルダープロセス」が重要です。 また、単なるコラボレーションではなく、コ・クリエーション(共創)になるためには、個々人の目標と全体の目的の一致感が常にないといけない。ひとことで言えば「配慮」ですが、他の人はどう思っている、その人の立場になったらどうなるかと考え、言葉にする。そんな関係性があれば、エリアやスペースを超えた「場」になっていくと考えています。 関わる人たちが参加する理由を明確にしておくことが、「場」でも連携でも大事ですね。誰かが無理してつながっている状況では継続しない。今回はいろいろ人が関わることで継続性が保たれました。実行委員会の企業担当者と協力者の北保健センター2日間の課題解決プログラムの実施多職種連携で生まれた継続性藤井藤井藤井藤井白川竹橋白川小木曽小木曽
元のページ ../index.html#3