TEEP NEWS LETTER Vol.07
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(出典)竹村彰通「滋賀大学データサイエンス学部における文理融合教育」日本数学会教育委員会シンポジウム(金沢大学 2019年9月17日)における資料をもとに三澤が作成横山清子 教授可能で快適な社会をつくっていくこと。その中でデータをどう処理、活用して、今までになかった「新しい価値」を創造していくかが問われます。セキュリティー面なども含め、どの分野でもリテラシーとしてDSを学ぶ必要性が高まっています。   DSは日本の文系と理系の壁を崩し、横串を刺していくものになると期待できます。理系の人間はデータ取得のノウハウや、それを整えてその意味づけをするといった現実世界の面は苦手です。そうした意味でも文理融合が進むでしょう。 新型コロナ感染症の流行が起こり、市民からも「正確なデータが欲しい」、「しっかり分析して欲しい」という要求があります。これはDSの側面から見ると、この分野の重要性が世に広く知れ渡る可能性を秘めているのではないでしょうか。   確かに今、毎日のようにコロナ関連のデータを一般の人も見て、盛んに議論しています。ある意味、これほど世間にデータが注目されている時期はないでしょう。 技術面では、ICT、IoT、AIの進歩がDS発展のエンジンになったのは間違いありません。データ加工やデータの抽出技術が向上し、膨大なデータの処理が可能となりました。人やモノなどさまざまな事象がネットワーク化し、分野を越えたビッグデータが出現しています。また、DSの特徴は、各種現象の法則性を大量のデータから発見し、予測や推測に活用する方法論を提供することにあります。それは、個別課題に対する解決策が即時的に求められる現代社会にマッチしているとも言えます。 以上のような要因が合わさって、医療や行政、経済、経営、デザインなどにデータ分析の結果が役立ち、新たな知見や価値創造につながるものだと認識され始めたのではないでしょうか。   私の出身は電子や機械などの工学部です。そこからニューラルネットワーク※などの研究を経て人工知能を専門としています。今はスマートフォンのセンサーデータから人の動きを解析しています。例えば、スマートフォンで人間の歩き方や触り方のくせなどを読み取って、機械学習によって個人を識別しようという研究です。それを応用すれば、ポケットからスマホを取り出した時点で個人認証ができてしまうかもしれません。   私は情報工学の分野で細胞画像のデータベースをつくる研究から始め、生体信号の処理などを専門にしてきました。例えば、心電図や筋電図から、リラックスや疲労などの人の状態の推定やモデル化を行います。 本学の芸術工学部ではデザインやモノづくりに興味を持っている学生がいますから、単に信号を処理するだけでなく、処理結果に応じたアクションを起こす、モノをインタラクティブに動かすといったデザインが可能になります。例えば自動車のシートで人の眠気を検出して、シートの振動で人を起こすといった研究はすでに進めています。 人にセンサーを直接つけるのではなく、本人が意識せずに生活環境の中でセンシングをして、快適性デザインや医療、経済への応用を追求渡邊渡邊横山三澤統計系データ対象分野の知識情報系統計系データ科学データ対象分野の知識(数学含む)AI含む高度情報技術系(数学含む)統計学医療統計学多変量分析経済統計学プログラミング情報通信・セキュリティAIデータ処理医学薬学看護学経済・人文社会理学芸術工学統計学医療統計学多変量分析経済統計学プログラミング情報通信・セキュリティAIデータ処理医学薬学看護学経済・人文社会理学芸術工学AI含む高度情報技術系情報系

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