TEEP NEWS LETTER Vol.05
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(原典)一般社団法人日本体験学習研究所『体験学習の基礎を学ぶ』 2020/2/9アクセス(出典)名古屋市立大学委託調査「多職種連携PBL演習の診断と改善点の調査に関する報告書」(一般社団法人ひらけごま著)、2020年3月16日疲労を感じているようにみえました。人間は心の安全性がないと学ぼうと思うことができないことが脳の研究でも分かってきています。例えば、疲労感が出てきたら一回休憩を挟むとか、空気の入れ替えをするとか、音楽を流してリラックスするなどして、心的安全の確保をさらに工夫していく進行計画づくりが求められます。 提案の4つ目として、3層にどのような力をつけてもらいたいのかを伝えることへの検討です。そのために、参加者(注:3層)のアンケート内容も検討しました。今回の演習で使われたアンケートは内容が細かくて漠然とした表記が多く、内容説明に時間がかかり、内容を十分理解してもらうことが難しいと感じました。 そこで、3層が行うアンケートは、「自分の考えを相手に伝える」「相手の立場になって資料を作成する」などと具体的な形にすると、より伝わりやすくなるでしょう。 5つ目は、「プロセスデザインの柔軟的運用」です。こうした演習は1層、2層、3層が複雑に絡み合い、2層、3層それぞれにとって大きな学びの場です。しかし、そのコミュニケーションや、チームビルディングがきちんとできていないと、3層の中で孤立してしまう学生が出てきてしまう懸念もあります。 今回の演習は、約2カ月に及ぶ進行計画の段取りを組み替える柔軟性が欠かせません。また、3層の適切なチームビルディングを考えていくべきではないかと思いました。 例えば、学外の専門家や経営者などによる「指南」はプレゼンテーションの後に今回行われていましたが、演習中によりよいビジネスモデルをつくるには、指南を前に持ってきた方が望ましいと考えられました。そして、プレゼンテーション後に同じ指南役がヒアリング調査をすると審査の精度が増し、発表と総評までの流れもスムーズになります。いかなるプロセスをデザインするか、どう評価するかを学ぶ事前指導とリフレクション型の学びの事後指導を工夫することで、2層の教育力のさらなる向上につながるのではないでしょうか。 参与観察を終え、改めて演習プログラム自体はTEEPにおいて重要だと考えられました。 特に、2層の3層への関わりとして、単発の授業で「やりました、おしまい」ではなく、2カ月というロングスパンの中で教育力を身につけられる機会が豊富に用意されていました。 一方、多層構造であるがゆえに、各層の関わり方は複雑です。それに加えて、多職種の参加者や外部人材をコーディネートし、ファシリテートするタスクもあります。だから、プログラム全体を把握しながら演習を進める難易度は高く、1層の実務家教員にも日常的な講義以上に「教育力」が求められます。 それぞれの層が複雑に関わっているため、全体を俯瞰的に見られる立場の方がいると、さらに効果的な演習プログラムの実現が期待できると感じました。裏面へ続く各層の複雑な関わり、俯瞰できる人材を3層にどのような力をつけてもらいたいのかを伝える重要度を増すプロセスデザインとリフレクション研修体験学習の循環過程図2

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