(出典)名古屋市立大学委託調査「多職種連携PBL演習の診断と改善点の調査に関する 報告書」(一般社団法人ひらけごま著)、2020年3月16日(出典)名古屋市立大学委託調査「多職種連携PBL演習の診断と改善点の調査に関する報告書」(一般社団法人ひ らけごま著)、2020年3月16日1層・2層・3層が演習の目的をしっかりと把握できているか2層・3層が演習を通して内省することで、学びを深められているかプログラムの構造と内容が、2層・3層の学び自体を促進できているか演習全体の心的安全性が確保できているか1層・2層・3層が協同して学び合えているか また、ビジネスプランの作成では目の前にある問題を解決するのではなく、40年から50年後の未来をビジョン化し、実現のために必要なものは何なのかを考える「未来デザイン」を取り入れていました(注:「未来デザイン」の解説がTEEPホームページより映像でご覧いただけます)。 薬学部や経済学部など、いろいろな専門の学生たちが助け合いながら進める多面的なプランづくりも、自分の専門や業界だけでは「そうだよね」と終わってしまうところを、別の視点から検討できることも、この演習の特長であると言えます。 参与観察では、3つの層で認識が共有されているかを確認するために、次の5つの観点を取り入れました(表1)。それは、「①1層・2層・3層が演習の目的をしっかりと把握できているか」「②2層・3層が演習を通して内省することで、学びを深められているか」「③プログラムの構造と内容が、2層・3層の学び自体を促進できているか」「④演習全体の心的安全性が確保できているか」「⑤1層・2層・3層が協同して学び合えているか」です。 その上でいくつか提案をいたします。 1つ目は「『教育力』についての認識共有」です。例えば「社会人基礎力」を高めましょうといっても、その力を私はこう捉えている、でも隣の人はちょっと違う、その隣の人も違う…では、みんなを違う方向に連れていくことになってしまいます。1層は1層同士、2層は2層同士、あるいは1層と2層でしっかりと、どういった力を育みたいのかという認識を共有して持つことが大事ではないでしょうか。 2つ目は「『教育力』の可視化」です。主体的な学びは小中高、大学でも大事にされていますが、まずは「自分が何を学んでいるのか」が認識できていなければなりません。その可視化のために「ルーブリック評価表」の活用を提案します。 「演習の振り返り」では「体験学習の循環過程」(図2)を参照しました。人が探求的に学ぶ場合は「体験」から「内省・観察」をして、なぜそれが起こったのか「分析」し、次にどうするかと「仮説化」する、これが振り返りの部分です。このようなプロセスを経ることで、学んでいる内容を生かしたり、何が足りていないかを考えることになり「メタ認知力」も高まります。 3つ目は「『心的安全性』の確保」です。今回は「いろいろな人が住むマンション」についてのワークがありました。これは情報を互いに伝え合う大切さや、どのように人と関わるかを考えるものでした。その教訓を演習全体に生かすには、チームをつくるときのアイスブレークの順序を変えたり、2日目のプログラムを連続した2日間に分けたりした方が、3層の学生にも2層の教員を目指す実務家の人たちにも学びやすくなったでしょう。(注:今回はチーム分け前に参加者全体でのアイスブレークが計画されていました。) また、演習が長時間に及ぶと、参加者がだんだん重要なのは3つの層の認識共有固定観念を超え多面的な視点が紡ぎあう「場」心的安全の確保で学ぶ意欲教員と学生の多層化構造図1 「3層で認識が共通されているか?」5つの観点表112345
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