私は「実務領域診断カルテ」の開発に向けた基礎調査として、実際に大学の准教授、教授という形で正式採用されている実務家教員十数人にインタビューしました。社会科学系統の実務家教員の知的熟達の判定と、実務家教員に求められるコンピテンシー(高業績者の行動特性)モデルの構築方法を明らかにするのが目的です。 インタビュー項目は大きく分けて3つ。「実務家としてキャリア形成と知的熟達をどのように行ってきたか」「実務家教員として活躍するためにはどのような条件があるか」「進化型実務家教員として貢献するには、どのようなことが求められるか」です。 そこで分かったことから、9つの仮説を立てました(表)。 まず分かったのは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した「計画された偶発性理論」に当てはまったことです。つまり、インタビューした実務家教員たちは、まるで大学教授になる準備をして、結果的になったようにみえる。こうした計画された偶発的なキャリアを形成する人には「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「冒険心」があるとされており、これが実務家教員の特性の重要な要素ではないかというのが1番目の仮説です。 2番目の仮説は、オープンマインドで社会との積極的な関わりを持つという特性が挙げられるのかなと思っています。社内だけではなく、社会で通用する知識・スキル・思考を、中間的な組織と関わることによって鍛えていたのではないかというところが見えてきました。3番目の仮説は、組織を動かしたり、変革をしたりするときに生じるあつれきを乗り越えた体験を持っているインタビューから見出した9の仮説田口光彦TEEPパートナー株式会社ジョイワークス 共同代表CEO人財育成コンサルタント「実務領域診断カルテ」開発に向けた基礎調査中面へ続く 実務家教員の重要性は広く認識され、各分野各所で既に多くの実務家教員が教育、研究、社会貢献などを担っています。TEEPコンソーシアムでは、改めて「実務家教員のコンピテンシー(高業績者の行動特性)とは何か?」を問い直すところから始めています。今回は、実務家時代に多くの困難を乗り越えて、さまざまな経験をし、現在ではフルタイムの実務家教員として大学にて教育、研究、学内運営、社会貢献を担っている「社会科学系実務家教員(主に経営学・経済学・社会学)」に焦点を当てて基礎調査を行いました。実務家教員は異なる役割が求められるため、アカデミック・キャリアの教員に似たような人である必要は無いと考えています。果たして、実務家教員のコンピテンシーを考える前提として何が見えてきたのか、以下は、TEEPパートナーとして調査で中心的な役割を果たした田口氏による中間報告の一部(概要)を紹介します。 (文・鵜飼宏成)調査の背景報告者2020年3月9日・中間報告会から ①文部科学省「持続的な産学共同人材育成システム構築事業」進化型実務家教員養成プログラム3vol.News Letter 名古屋市立大学 岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学
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