進化型実務家教員養成プログラム(Training for Evolutionary Evangelist Program: TEEP)では、実務家教員像を、大学などでの学びが仕事の現場でどの様に活かされているかを、自身の経験に根差して伝える以上の役割を担う者と置いています。想定している役割とは、第1に「学生が主体的に探求できる学びを創出する」こと。これは、実践に即したアクティブラーニングの場で、学生が学び方を学んでいく学修プロセスづくりでもあります。第2に「新領域での課題解決を担う」こと。企業や地域で生じている正解が分からないテーマを前にプロジェクトを起こし、リーダーとして取り組むことです。ここでの気づきを教育と研究にフィードバックします。第3に「産学官民連携の共育環境を創出する」こと。正解が分からないテーマが多くなっている昨今、年齢も所属も問わず自らをバージョンアップすることが欠かせません。その現場を新領域に求めます。 立教大学の中原淳教授は、「大学を卒業し職業人になってから要求される能力は高まる一方なのに、大学教育がこれに追いつけず、両者の『段差』が広がっている」と指摘しています (2019年9月23日付 日本経済新聞)。誤解を恐れずに理解すれば、社会的に人材育成が追い付かない時代を意味しています。私は、大学側と企業側で、必要と考える能力要件に質的な違いが生じていることを示唆するものと捉えています。この変質すなわち「段差」をもたらしている背景に目を向けれ進化型実務家教員に期待する役割イメージは、変化し続ける現場で混沌を楽しみ切り開く《野武士》鵜飼宏成名古屋市立大学大学院経済学研究科 教授TEEPコンソーシアム実施委員会 委員長《進化型》実務家教員の居る社会~TEEPの視方~中面へ続く 実務家教員の重要性は広く認識されています。その一方、実務家教員の明確な規定は無く、抱くイメージが人により異なっているのも事実です。私たちは、この状況を各分野各所で既に多くの実務家教員が教育、研究、社会貢献等を担っていることの証左であると考えています。TEEPコンソーシアムは、実務家教員が次代を切り開く積極的な役割を担う段階にあると考え、「進化型実務家教員が居る社会」を実現すべく動き始めています。このNews Letter “TEEP”では、実務家教員の多様性を重視し、現役の実務家教員、大学・大学院、実業界等の視点から「実務家教員の現状と進化」を発信していきます。今回は、TEEPコンソーシアムを構成する4大学のプロジェクトリーダーに投稿いただきました。 (文・鵜飼宏成)文部科学省「持続的な産学共同人材育成システム構築事業」進化型実務家教員養成プログラム2vol.News Letter 名古屋市立大学 岐阜薬科大学 高知県立大学 中京大学
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