TEEP NEWS LETTER Vol.01
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う部分もあります。2010年に、日本は中国にGDPで抜かれましたし、現在は労働生産性の低さが課題になっています。国の成長力というのは、国を構成している企業や組織の成長力でもあります。企業や組織の力は、それを構成している国民一人一人の力量ともいえます。日本の成長力の低さは、国民一人一人の労働生産性の低さに起因し、そうであるならば高等教育のあり方も自ずと問われてくるのではないでしょうか。大学というのは、社会に出て働く前の段階で、最後の教育の場でもあります。ここでしっかりとした教育を行なわなければ、日本人の資質と能力を経済成長に結び付けられないのではないか、と反省を込めて思うようになりました。    これまでも、医学や薬学などに関しては、現場経験を持つ人たちが学生に教育をしてきました。日本では、専門職大学院(法科大学院や教職大学院など)が登場した頃から、いわゆる「実務家教員」が広がりました。たとえば、法科大学院では教員の一定数に裁判官や弁護士の出身者が入っています。 今回の実務家教員養成プログラムでは、そういった専門職以外の分野でも、実務家教員を教育現場に入れていくフェーズになったと理解できます。社会人を対象とした「リカレント(学び直し)教育」へのニーズが高まるなかで、実務経験を有する方々を対象に、大学の側が彼らを実務家教員として養成し、ニーズに対応していく。多様な企業の現場や、それを取り巻く社会の最前線で活躍する人たちに、実務経験を基盤とした教育を担ってもらう。これまでよりも、実務家教員像が広がったのだと思います。    政策的な背景のひとつに、2018年の「人づくり革命基本構想」があります。閣議決定した文言を見ると、「質の高いリカレント教育をやってほしい」「キャリアアップやキャリアチェンジのできる社会を作る」といった内容が把握されます。これらとともに、「実務家教員養成のしくみを構築してほしい」という内容も書いてあります。すでに企業で働いている人々を対象に、キャリアアップや転職を可能にし、社会全体の成長を支えてほしいという政策的な意図があります。それを促すためには教育環境を整える必要があり、ここに実務家教員の活躍が求められているのだと思います。    まずは、社会人を対象にしたリカレント教育をしっかりと担ってほしいですね。実務家教員として活躍する人たちには、これまでの経験や最新の動向をふまえて、新たな知見を学生たちに提供し、今日のように予測困難な時代でもイノベーションを生み出せる人材をぜひ育てていってほしい。同時に、実務家教員には既存の大学組織の中に入って、大学教育を変革する一つのファクターになってもらうことも重要です。 しかし、実務家教員という新しいタイプの方々が大学の教育現場に入るとき、おそらく大学の組織風土と出身企業との間にカルチャーギャップも感じるでしょう。ただ、こうした乖離を埋める役割も、彼らには期待されます。企業では組織として仕事をすることが多いでしょうが、とりわけ文系の場合に、大学は個人での研究や教育が少なくありません。上司と部下がいて、階層構造になっている企業とは、意思決定のしくみもまるで異なります。新たに大学教育の加藤加藤加藤新しい実務家教員が求められる背景には何があるのでしょうか?実務家教員には具体的にどのような場面での活躍を期待していますか?加藤さんが考える、これからの実務家教員像とはどのようなものでしょうか?実務家教員養成へ期待すること裏面へ続くかい り

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