TEEP NEWS LETTER Vol.01
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        2016年9月から2019年3月まで、特任教授として赴任していました。学長特別補佐として、大学の教育改革を推進する仕事を担当しました。「教学マネジメント」と言いますが、大学として組織的に教育に取り組むことの必要性を提唱してきました。    大学には通常、「教育」「研究」「社会貢献」という三つの柱があると言われますが、私は以前から「日本の大学では、教育が疎かになっているのではないか」という問題意識を持ってきました。実際に、名市大で教育改革に携わるなかで、これからの大学には組織的な教育の推進が必要であるとあらためて感じました。 日本の大学教育改革は、1991年の大学設置基準の改正から始まったと言われ、今日まで改革が続いています。こうした背景の一つには、入学者の属性が以前と変化している事情があります。1990年の日本の大学等進学率(短大を含む)は36.3%だったのに対し、2018年は57.9%まで上がっています。つまり、誰でも希望すれば大学に入れるようになってきたわけです。そうなると、入学者の学力や興味関心も多様化し、それに見合った教育が求められます。大学は今、こうした変化に対応することが必要でしょう。    OECDには、「加盟国が経済成長するには、高等教育をしっかりやらなければいけない」という意識があり、実際に加盟国の高等教育がどのように機能しているかを調査しています。日本も加盟国なので、調査を受けることになり、2006年に私は文科省の担当者として対応することになりました。調査団が来て、大学などの現場を視察して評価してもらったのですが、「日本の大学はしっかりと入学者選抜を行っているので、入ること自体は難しい。しかし、入学した後の学生はさほど勉強しておらず、卒業するのも容易な状況である」との指摘を受けました。確かにアメリカの大学に比べると、日本の学生は勉強時間が短いことはわかっていました。しかし、当時の日本はGDPで世界第2位の経済大国でしたし、当時の私は「何もそこまで言わなくても」と感じたものです。 しかし、今となっては当時の指摘が妥当だったと思実務家教員の可能性と大学の役割加藤加藤加藤まずは、加藤さんと名市大との関わりについて教えてください。加藤さんは過去に、文部科学省でOECD高等教育政策レビュー(評価)のお仕事も担当されましたが、その経験で感じたことはありますか?名市大での2年半で感じたことは何でしょうか?大学教育改革は30年経っても終わらず国の成長力は一人一人の国民の力量1987年文部省入省後、高等教育局および科学技術・学術政策局においてOECD高等教育政策レビューの取りまとめや大学の国際化などに尽力。その後、国連大学大学院事務局長、新潟県立大学事務局長、名古屋市立大学大学院特任教授・学長特別補佐などを歴任後、2019年4月より現職。専門は、教育社会学、高等教育論、文化政策。加藤 敬 ( かとう たかし )東京国立近代美術館館長

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